イベントストーリー
What is your name?
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「りっつん。あれ無理してる?それとも…」
「かなり動揺してるな。」
じっとステージを見つめる黒斗はそれ以上何も言わなかった。誰しも動揺してしまうだろう。自分のユニットが解散するかかかっている対バン形式のパフォーマンスで、学院最強と言われているあの暴君と戦わなければならないんだから。
「俺は大歓迎なのになー…。」
お前本当たまに怖い。と黒斗に指摘される。でも俺としては、やっぱり、一泡吹かせたいだろ。なぁ?なんて自問自答をするともちろんだろ。と返事がきた気がして満足する。俺だってやられっぱなしは気に食わない性格だ。
昔の話をすると、この学院に入学して、1年目で黒斗とユニットを組んだ。2年目は五奇人と生徒会のやり合いのために黒斗を取られた。誘拐、ともいえるのだろうか。あの時は、気付いたら脱退申請をしたっていう証拠なのか申請書のコピーが机の中に入っていて生徒会に殴り込みに行った。しょうもない嘘をつかれた怒りと、本当だったとしたら、独りになってしまうんじゃないかっていう恐怖が入り混じって。その感情のままに殴り込み。停学、あるいは退学になってもおかしくないくらい荒らしに荒れて、正気に戻った。というか"俺が起きた"理由は多分、血相変えて黒斗が俺を起こしてくれたからだと思う。そういえば、黒斗の表情筋が最も動いた時じゃないかな。
「懐かしい」
「は?何が…って、いつのこと思い出してるんだよ」
「何って聞いといて観るなよ。」
「なんかにじみ出てたから、か?」
「自分でもよくわかってないのかよ!」
「それより見ろよ。凛月、あんなにやる気満々なの、いつぶりだ?」
「…俺の記憶には残ってないよ」
そんなにユニットを、仲間を大切に思う気持ち。痛いほどよくわかる。俺もそうだった。今でこそ物理的なつぶし合いなんてないけど、ほんと昔は…あれ…?
「俺ってなんであの時、停学処分とかにならなかったんだ?」
いくらそういう時代とはいえ処分はあった。それに生徒会に殴りかかったともなれば五奇人でない限りほとんどは粛清されていたはず。いくら俺の事情があったとしても。そもそも俺の事情なんて今ですら知ってる奴は黒斗とせなたんだけなのに。
「…」
隣で溜め息を吐く黒斗を見るも視線はステージに注がれていた。りっつんを心配しているのだろうか。それとも…
「黒斗、」
「引き分けか。二戦とも引き分け…となると、司と、レオの一騎打ち。」
え、すーたんと?気付けばすーたんとつっきーがステージの上に立っている。始まるまではあんなに長く感じたのに、始まってからは早いんだよな。ライブの鑑賞ってどれを見てもそんな感じで、自分が燃え尽きる前にいつの間にか終わってしまって。だから自分が燃え尽きれるようなステージをって思ってアイドルやってるけど、俺の実力も観客からするとそんなもんなのかな…なんて。
「ん、レオ…なんだあいつ、Knightsやめるみたいな言い方しやがって」
「まぁでも…つっきーにはそれくらいの覚悟持ってやってもらった方が盛り上がるんじゃないのー?いっつも変なパフォーマンスばっかりするから。たまには真面目にな?」
「まぁ、いくら口では言っても夢ノ咲にいる限りは脱退とかしない限りそのユニットの一員だしな。そう理由つけて自分を奮い立たせるのも正当な方法か」
そんな難しいことつっきーが考えてるとはまったくもって思わないけど。むしろそれ黒斗くらいだろ。
そうしてすーたんとつっきーのマイクがそれぞれ入り始め、まともに話し声が聞こえる。
「私が勝利したら…。とりあえずまずは新入りではなく名前で呼んでいただきます。自己紹介から始めましょう、ようやく帰還された我らKnightsの王よ。」
新入りなんて呼ばれてるんだ。不満なのはわかるが…すーたん顔だけ覚えてもらってるだけ凄いぞ?いやまぁ、つっきーを知らない奴はそういうもんか…。
「Repeat after me…私の名前は、朱桜司です。どうか、以後お見知りおきを」
そう言った途端Knightsが目当てで今回来場した観客は悲鳴にも近い歓声を上げる。
うっわ、なんか甲高い声ばっかりだな。まぁ俺たちの時も女の人ばっかりだけど。にしても何というか、これは圧倒的にすーたんが勝ちそうな勢いなんだよな。
つっきーがどれだけのパフォーマンスを見せるか、それにもよるけど、この会場はつっきーを知っている人はいない。むしろ現時点ですーたんの安心感のあるパフォーマンスそ楽しみに来てる客しかいない。ただその分、つっきーのパフォーマンスの意外性に突かれて過半数を持っていかれてもおかしくない。
お互いがお互いの出方をよく知らない。それが勝敗を分ける。どっちが先に何を出すか。
「ふ、純粋に楽しみだなー?な、黒斗!」
「…あ?あぁ…そう、だな。」
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