イベントストーリー
What is your name?
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「お集りの皆さん!お待たせしましたぁー、ついにジャッジメントの当日だ!わはははは!!」
「…」
相変わらずのレオのテンションに観客はついていくことは不可能のようだ。というよりは、レオが誰なのかという方が大多数のようでざわついている。
その状況を把握していても自己紹介すらまともにしない、いや…こいつはまともになんてできないか。
「ナル!セナ!他の連中はどーした?まさかブルって逃げちゃったわけじゃないよなぁ、それじゃ面白くないもんな!わはははは!」
「進まないな」
思わず心の中に思っていたことが口に出てしまう。泉と嵐が仲良くレオとお喋りをするせいで押していた時間がさらに押している。
何をどうしてか、つい昨日父さんからきた電話の、俺への"お願い"はどうも切羽詰まっているような阿呆みたいなもので、単に、Knightsを解散させないでほしいというもの。
そんなん俺の役目じゃない。と投げ出そうとするが泉のことはどうしても、というのが頭に過ってしまい頷いた。と言えど、たった一日で何ができる!そう思ったわけで、成り行きで蒼空に相談すると、応援すればいい。という返答。
「蒼空はたまに頭いいよな」
「え、なんだよ急に。俺の事急に褒める癖やめろよ…なぁんかむずがゆくなるんだよなー」
「いや、本当に。今回の応援すればいいっての名案だと思って。」
「だってさ。黒斗にとって大事な奴のユニットが解散って…やっぱり悲しいだろ。泉もあぁ見えて不安なんだと思う。柄じゃないけど、負けたら…なんてこと考えてるんじゃないか?」
「あぁ…そう、かもな。」
「…観はしないんだな」
蒼空が呟いた一言に答えることはできなかった。つまり肯定と取ってくれて構わないのだが、あの日以来泉の内心が観えてしまいそうになると酷く怯えてしまう。
あの時はあんなことを言ったが、恋愛感情が必ずしも過去のあの女みたいになるとは限らない。それはわかっているんだ。でも、怖い。
視界に入ろうものなら徹底的に避けるし、なるべく、なるべく観ないように努めた。
それでも、こうして応援に来るほどには俺もちゃんと泉の事大切に思ってる。
「俺はお前のそういう感情がわからないけどな」
「…黒斗。」
ぼそりと呟いた俺に笑って背中を叩く蒼空。ほら、どんどん進んでるぞ。なんて気をまぎらわせるように声をかけてくるのだからありがたい。こいつも俺にとって大切で、真も。綾人の愛情も問題ない。確かにあいつもヤンデレだけど。
ナイフとかそういうのはあの女が元凶で、あの女に限ったことだというのはわかっているが、それでもどうしても、初めて恋愛感情を見て、それが刺されるのにつながったのだから恋愛感情そのものを嫌悪してしまってもしょうがない…。
「いって…」
蒼空に聞こえないように呟き左の眼帯を抑える。幸い蒼空は右側にいるから少し逸らせば痛がっているのはばれない。
「にしても、暴君か…なんでいるんだろうな。なんなら俺も参戦したいんだけど、暴君と同じユニットじゃなー?」
「そう、だな?お前はいっつも英智の首ばっかり狙ってるよな。」
「いやいや、そんな物騒な言い方すんなよ!?変な誤解が!」
「DDDの時完全に首を…って言ってただろ」
俺は忘れない。あの時の蒼空の目はマジだった。しかし実際、蒼空にはそれだけの実力がある。それにも関わらずその機会を与えられず、ユニット単位で戦おうもんなら俺が足を引っ張る。これでも、少しは良くなったと思ってたがまだまだ力不足のようだ。
「と、さすがにあれだな。Knightsの2人に紅郎となずな…大物のパフォーマンスを見ると圧倒される。」
「何言ってんだよ。黒斗もあれくらいできるだろ。もっとこう、いろいろ受け入れられるようになったらさ。今のお前何でもかんでも警戒して踏み出せないでるから、俺が引っ張らないとだろ?」
「お前は突っ走りすぎなんだろ…罠とかそういうの気にしないで突っ込むから」
「でも、罠だったとしてもちゃーんと止めてくれるだろ。黒斗が」
それがもう少し、もう一歩前で俺の手を掴むんじゃなくて俺の肩を掴んで止める距離にいたらいいんだけど。なんて付け加えられる。
もう一歩?歩いているうちに手遅れになったら?俺は、この目が見えてるから、誰しもが傷を負わない選択をする。無鉄砲では危険すぎる。そうじゃないのか?だから一歩前で…見ているのに。
「受け入れる…か。」
「そうそう」
ふふ、となぜか嬉しそうに笑う蒼空に気持ち悪いと一言こぼしながらステージを見る。どちらも接戦。わずかにKnightsが優位だ。確かに紅郎となずなのパフォーマンスは素晴らしい。けど、2人でやるには見栄えが悪すぎる。似ても似つかない2人組が吉と出るか凶と出るか、それは観客次第になるが…。今回は凶らしい。可愛いなずなと格好いい紅郎のバランスが悪かったようだ。見慣れているけれどしっくりくるKnightsの2人組のパフォーマンスに圧倒される観客のほうがわずかに多くあとは体力の問題。消耗戦ともいえるやり合いへともつれ込んだ。
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