イベントストーリー
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正直今年の体育祭は地獄なのかなって思う節がたくさんあった。僕って厄年だったのかな。個人種目で参加した借り物競争のお題は眼鏡をかけた人。僕じゃんって思ったけど駄目らしくて蓮見先輩を恐れ多いながら引っ張って走ることになったし。
なにより、もう学院中で噂の二人三脚事件。
「黒斗さん!」
「ゆうくん!」
「あんたじゃないし!?」
なぜかいまだ足首縛りっぱなしの泉さんと黒斗さんを見つけ若干もやもやしながら駆け寄る。その足縛ってるせいで普通科の女の子を中心に変な噂たってるの自覚した方がいいと思うんですけど。いや本当に。ちなみに僕と泉さん派とかっていう噂もあるみたいだけど。気持ち悪い。
「あの…なんでまだ縛ってるんですか?」
「それさっきから色んな奴に聞かれるんだけどよ。これ、泉がやったくせにほどけないそうだ」
「そうそう、走ってる間にほどけたら失格になるでしょぉ?だからぜっっったいにほどけない様に縛ったんだけど、さっきの転倒のせいでなおさらきつくなったんだよねぇ」
納得いかないし泉さんにやにやしてるし本当嫌な人!
っていうか…流石にもう放課後だよ?足首ほどけなかったら制服に着替えられないし帰れないですよね?なんで2人ともそんな余裕なんだろう。
「あ…明星くんと衣更くん!」
自分と同じで既に制服姿の明星くんたちを見つける。一緒にいるのはバスケ部の人たち?かな。
確かあの人が明星くんが珍しく苦手だって言ってる守沢先輩。あの背の高い子って?
「おー、千秋お疲れ。お前の活躍で赤組に色々点数はいったぞ。さすがだよな。俺じゃ個人競技なんて周り見えないと怖いからこうやって、二人三脚じゃなきゃでられないしな」
「うむ!2人とも今回の体育祭で随分と大胆なことをしていたな!」
その話はしないで!と心の中で叫ぶけど守沢先輩にそんなこと通じるわけもなく溜め息を吐くと衣更くんが耳打ちしてくる。
「瀬名先輩に一歩リードされてるな?」
「えぇぇ!?いい衣更くん!か、からかわないでよ!?」
「はは!ごめんな!でも真の百面相、すっげー面白いぞ?」
「ゆうくんとこそこそ話すとか何様のつもりぃ?」
「げっ、瀬名先輩…」
衣更くんの表情が一気に硬くなり、じゃぁ俺これから打ち上げだからと逃げられる。と同時に肩にポンと手を置かれた。紛れもなく泉さんの手で死に物狂いでどかせ逃げると、砂浜でよくある追いかけっこだよね!なんて言って追いかけてこようと…
「っああぁぁ泉さんストーーーップ!!」
いつも通り脱兎のごとく逃げ出そうとするも状況を思い出し後ろを振り返り叫ぶ。けどもう手遅れだった。
「えあ"ぁぁ!?」
情けない、と言っては失礼だけど、黒斗さんの断末魔が聞こえた。黒斗さんは足を引っ張られそのまま抵抗する暇もなくその場で転倒する。泉さんは黒斗さんの体重で足首の紐がピンと張り走り出した勢いも加わりこける。なんか…段々可哀想に見えてきた。
「…泉ぃぃ…!」
「あーもう!アイドルの顔に傷がついたらどうするわけぇ!?」
「だからさっきは俺が下になってまで助けたのに!なんでお前は同じミスをしようとするんだ!」
「今のは完全に不可抗力!」
「さっきのは不可抗力じゃないのかよ…!?」
「あ…」
「あ"ぁ"…?」
不良のような返事に、まずいばれた!と言わんばかりの泉さんの顔に黒斗さんの目が細められる。うわ、見てる。すっっごい観てる。
そうして黒斗さんは事実を知ったのか、しばらく呆然とする。というか、目が据わってる。
「黒斗さん…大丈夫ですか?」
「ゆうくん俺の心配もして。赤裸々になった俺の心配もして。…っていうか!そうやってすましてるけどゆうくんだって黒斗のこと好きでょぉ!?」
「ちょ、泉さん!」
「…あ、いや、その。お前ら落ち着けって。な?」
そんなことを苦笑いを浮かべながら言う黒斗さんの手は震えている。動揺してるのがひしひしと伝わった。
「あ、ちょっと待て瞬きさせて」
「え、はい?」
光を宿していなかった黒斗さんの目は2,3度程瞬きをするといつもの綺麗な瞳の黒斗さんに戻る。でもやっぱり動揺して、ますよね?
「これで、4人目か。」
呟く黒斗さんに聞き返そうと口を開くより先に泉さんが大袈裟にはぁ?と反応する。
「極度の恋愛感情はナイフに変わるから勘弁してくれ、な?…ナイフにならなかったとしてもヤンデレになる」
そう言った黒斗さんの瞳は確かにいつもの目だったけれど、しばらく何も見たくないというように目を閉じてしまった。
「あ…ほどけ…ちゃった。」
泉さんがそう呟いた途端早々に立ち上がった黒斗さんはもう一度僕たちに苦笑いを浮かべると着替えてくる。と学院の中に姿を消した。その姿に僕と泉さんは目を合わせて
「ナイフって、そういうことですよね?」
「ヤンデレって、そういうことだよねぇ…」
白熱!夢ノ咲学院体育祭::END
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