イベントストーリー
What is your name?
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「ふええぇぇ!?」
時間ギリギリまで天祥院先輩とお話をしていた私は、眉間に皺の寄った蓮巳先輩の言葉に驚き講堂を出る。講堂に入る直前の所で動いていたのは蓮巳先輩の言う通りロボットだった。
「渉ー?なに楽しそうなことやってるんだい?」
にっこりと横で笑う天祥院先輩に私は苦笑いを浮かべそうじゃないですよね。と内心突っ込まざるを得ない。
日々樹先輩は楽しそうに神輿のてっぺんで高笑いをしているし、観客の皆さんは驚いているようでかなり楽しんでいる。
もちろん逃げてる人もいるけど。
そんな中明らかに不機嫌そうに出店の方から走ってきた黒斗先輩を見つける。と、思えば慣れた手つきでいつも持っているのとは違うスマホを取り出し電話をし始めた。
「あ、まずい」
ぽつりと呟いた天祥院先輩と蓮巳先輩は声を揃えて、今すぐにやめろ!と日々樹先輩に向かって叫ぶ。
あれ?神輿のお立ち台にいるのって桃李くんと弓弦くん!?
「あんなところに!でも結構ロボットも暴れてて危ないですよ!?」
走り出した蓮巳先輩は黒斗先輩に向かって待て!と制止の声を掛ける。
なんでそんなに慌てているのか私にはわからないけど、酸欠になるのも構わず天祥院先輩が走って日々樹先輩にやめるように叱った。
「んー、残念です!ここからがクライマックスだったのですが、皇帝陛下に走らせてしまってまで大人しくしないわけにもいきません」
「はぁ…やっと、止まった!」
「坊っちゃま、お怪我はございませんか?」
「渉…これ以上続けてたら、君、危うく停学になって…しまうところだったよ」
疲れ果てながらぽつぽつと言葉を紡ぐ天祥院先輩の元に笑いながら謝罪を述べる日々樹先輩。その後ろには文句を言いながら蓮巳先輩と黒斗先輩が来た。う、黒斗先輩に睨まれる前に講堂に入っちゃおうかな…
「渉、お前、度が過ぎると本当に停学にするからな?」
「おやおや?黒斗ではありませんか!…停学にする、というのは黒斗が決めれることではありませんよ?その権利はもっと上の方が持っていますから」
「た、たしかに…」
ぽつりと私が呟くとその声に反応して黒斗先輩に睨まれた。やっぱり思った通り。
でもどうして黒斗先輩はそんなことを。天祥院先輩だってそんなこと出来ないのに?
「渉…とにかく、講堂でのライブに遅れちゃうから行こう」
「そうだぞロン毛!まったくお前のせいで時間が押してるんだから!」
桃李くんと天祥院先輩が引っ張るように日々樹先輩を講堂ステージの裏まで連れていく。
「目良。すまん、副会長の俺にもあいつを止める事はかなわんのだ」
「敬人は悪くないだろ。強いて言うなら連帯責任でfineの活動を自粛させるかって話になる。あと、電話は俺から掛けたんじゃなく着信だからな。あれは…」
そう言いかけて私が話の中に参加するように蓮巳先輩の隣にいたのを見つける黒斗先輩。その目付きは話を聞かれたくないからどっか行けって物語っているようで、単純に怖かった。この人は多分生涯女の人にはこんな感じなのかも…。もともと女の人が嫌いだったのに、あの海賊フェスの時の黒斗先輩は見るに耐えなかった。怖がっていて痛がっていて、それでも瀬名先輩と嵐くんの手を掴んで心配していた。
この人は本当に優しい人だけど、嫌いなものはとことん嫌いみたい。といっても嫌いなものは女の人…くらいしか私は知らない。
「えっと、お客さんの整理とか、私行ってきます!」
黒斗先輩の視線に耐えられなくなり逃げるようにその場を離れる。
思えば、私とまともに会話をしたのは記憶に残らないほど少ないし、他の生徒と違って黒斗先輩のことはまったく知らない。というか、あの2人。WWについては何も知らない。他の人みたいにプロデュースしてとも頼まれないし、プロデュースしない人のプロフィールをなんの理由もなしに見せてくれる先生もいない。佐賀美先生ならと思ったけど面倒くさいの一言…。
「プロデュースさせてくださいって言ったときも…」
以前黒斗先輩と蒼空先輩2人がそろっている時に頭を下げてお願いをしたけれど一刀両断された覚えがある。それも、あんなに優しい蒼空先輩に。あの人も、ちょっと苦手な部分があって…
「ド直球なんだからなぁ…うーん、」
その時の断られ方はいたってシンプル。「素人のプロデュースは受けない」の一言だった。蒼空先輩がへらりと悪気もなく言うものだから周りにいた生徒たちも動揺を隠せていなかったしそれは私もしかり。
「うぅー、素人かぁ…」
これでも、こうして喧嘩祭の件も含め色々とプロデュースしてきた、周りからも嬉しいことに評価されてる。今回もいつもしかめっ面ばかりの蓮巳先輩に撫でてもらえるほどなのに。
「WWの2人は、シビアな世界にいるのかなぁ…」
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