イベントストーリー
What is your name?
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
やっぱり気に食わない。
「黒斗」
暇だ。いや、暇と言っては神輿の上でパフォーマンスをしている両ユニットに失礼なのだが、いや、でもそういう意味ではなく暇だ。
「おーい」
「…」
「黒斗!意図的に無視しないで!反抗期って本当嫌だな!?お兄ちゃんもそんなにならなかったのに」
「あいつはまぁ…父さんに似てるもんな。で、なんだよ」
「さっきからそこに置いてあるスマホがなってるよって」
「…?」
俺の席と用意された椅子に置きっぱなしのスマホの画面を見ると着信履歴。
そこには、朔間零の文字。
「え」
あいつから電話なんて一体何事だろうか。いやむしろ何もないのかもしれないけど。
「降りるのか?」
画面を見つめる俺をにこにこと眺める父さんに促されるように尋ねられる。まぁつまり降りてもいいということだろう。
「あぁ、とりあえず、行ってくる。なんもないと思うんだけどな。」
「No problem!また気が向いたら上ってくればいいさ。ま、そのうち講堂に移動しなきゃだけどね!」
相変わらず愉快な父さんを半分無視し着信のあった電話にかけなおす。
「もしもし?」
「おぉ…?繋がっておるかの?」
間の抜けた返事のあと、おい貸せ!と怒鳴り声が聞こえた。
「目良センパイ!今どこだ!俺達出店やってるんだけどよ。ちょっと人足りねぇんだ!流星隊の野郎どもがほいほい客連れてくるせいで飯が間に合わねぇ!手伝え!」
もう少し言い方があるだろう。なんて愚痴は心の中にしまい、わかったと二つ返事をして出店とやらに向かう。流星隊の数人が目立つように立っていてくれるそうだが、神輿がある程度離れた今の状況でも人の入りは尋常じゃない。
「流星隊は…祭りもの好きすぎだろ」
そこで緑色のバンダナを付けた翠を見つける。
「あ、目良先輩。よかった。もう少しで来なかったらもう立ってるのやめようかと」
「本気で困るからやめろよ」
「だってここに立ってるだけで周りの人にでかいとか通り過ぎる時に言われたりして…」
「わかった、わかったから。それでUNDEADの出店は?」
「あ、そうだ…こっちです。」
翠に案内されUNDEADが仮にも一丸となって出している出店は暑さを吹き飛ばすかき氷と定番の焼きそば。
薫は働く気ゼロで口説くことに精いっぱいのようで、零はかき氷の器具の使い方がわからない、のと、焼きそばの鉄板の熱気にやられて商品渡し係しかできず、まさかの最年少組が焼きそばとかき氷を両立してバタバタしている。
「たくましいな…」
「おぉ!目良センパイ!!来てくれて助かるぜ、早速だけどよ、かき氷頼む!」
「は?いきなりかよ…ええっと?こうか」
やり方うんぬんはある程度機械を見ればわかる。そりゃ変に難しい機械なんてわざわざ仕入れないだろう。
零を誘い使い方を説明する。アドニスと晃牙には焼きそばに専念してもらい、俺と零でかき氷を売る。
「それにしても…なんでこんな2つも抱えてるんだ。」
「それがのう、かき氷は流星隊の子らがやっとったんじゃが、まぁこの通り、組体操や売り子やら始めて、こっちの仕事を放ったらかしにしたんじゃよ」
「…あぁ、やりかねないな」
「わたあめ、もらえますか?」
「すいません、わたあめは…って奏汰!?」
客かと思い顔を上げるとそこには奏汰が立っていた。お前、働けよ。
「このまえのかいぞくふぇすではおせわになりました~。ゆっくりおはなしもできなかったけど」
「そうだな?となると、久しぶりってくらいか?」
そうですねぇ~、と呑気に何処かへ立ち去ろうとする奏汰。だから働けよ。行かせまいと手を掴むと明らかに不機嫌な顔を向けられる。
「お前の仕事だろ。」
「おとなりさんがやきそばなので、あついのはにがてです。」
「俺なんかはもともと仕事じゃないのにやってんだぞ?fineと紅月が講堂に戻ってくる頃には俺だって関係者席行かなきゃいけないんだから」
そう言った俺に奏汰は渋々ながら頷く。一緒につれて歩いていた忍者がなんやかんやという一年生も一緒に。確か、仙石忍…そう、忍だったか。
こんなんじゃ父さんに全校生徒の名前を覚えられないようじゃ次期学院長にはなれないぞとか言われるな。
言うことを聞いた奏汰に機械の操作を教えて後ろで見張っていると零が俺の肩を掴む。
「のう、黒斗。先程、行かなきゃと言っておったが、お主にしては珍しい物言いじゃのう」
「え…まぁ、転校生みたいなもんだよ。だから席外せないんだ」
なるほど。と納得してくれたのか零は目を細めながら俺を見る。こいつはなんでも知ってるが、俺が次期学院長っていうのは知ってるのだろうか。
別に知られてまずいことはないが、変に距離を置かれたり他人行儀にされるのは目に見える。だからこそ、卒業までは隠せるところまで隠そうとは思っているのだが、残念なことに気が利かないほど頭の回転が速いやつが多いせいでひやりとする。
「む、また騒々しくなってきたぞ。」
アドニスが不意に口にした通り講堂付近に人が増えていく。と思えば約1名、いや、それ以上の人が逃げるように出店の方へ走ってくるのだった。
NEXT::