イベントストーリー
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晩夏 サマーレッスン -summerlesson-</font>
「夏休みだぞ~?帰ってこいよ…?」
分かりやすいよう溜め息混じりに相手に告げる。先日から久しぶりに仕事だと連れ去られた同居人は今だ帰ってこない。明日か明後日か。どちらにせよあまり期待はしていない。事務所も、せっかくのチャンスだとなかなか返してくれないのかもしれない。
「やば、お風呂の水溢れてるかも…!」
長話をしたつもりは無いが心配になり浴室へと掛ける、残念なことに淡い期待は砕かれ浴槽からお湯が溢れていた。またも溜め息を吐き蛇口を閉める。
あー、黒斗がいればこういう時、もうすぐだぞって声かけてくれたり閉めにいってくれるのに。
「甘えすぎかなぁ」
黒斗の親が持っているこのマンションは2人で住むには贅沢な気もする3LDK。俺の部屋と化した一室に、着替えを取りに行く。
背の低いタンスを引きパンツからパジャマから取っているとCDを始めヘッドホン諸々を置いているタンスの上でぱたんと何かが倒れた。勢いよく引きすぎたかな?
「あ、」
倒れたのは写真立てで、それを持ち上げると入っていた写真は幼い頃に北斗と撮った写真。昔ふざけているときは北斗しちせーなんて呼ぶけど本人は予想以上の拒否反応を見せるから、最近は自粛している。見つけやすくて有名で、良いと思うんだけど。
「あいつらは夏休み、何してんのかな」
俺や黒斗みたいなプロデビューをしていないあの4人は、今ごろ学生らしい夏休みを送っているのだろうか。どこか遊びにいったり、はたまた部活したり?一所懸命にレッスンでもしてるだろうか。
写真立てを元の位置に戻し、着替えを持って浴室に行く。お風呂から上がったら10時…普段から黒斗はもうその時間に寝るし俺も寝ろなんて言われて眠りにつく。そのせいか服を脱ぎながらあくびをする。もう頭は寝る準備ができているようだ。1人静かなこともあってやけに早い。
「でもやっぱ風呂は欠かせないよなぁ…」
体を洗ってお湯に浸かるとほかほかと気持ちの良い暖かさに大きく深呼吸をする。同時に一気に眠気が襲ってくるが、それを知ってか知らずか、脱衣所に置いたスマホが微かに音を立てているのが聞こえた。
「えぇー?なんだよ」
愚痴りながら身を乗りだし浴槽に浸かったままスマホを取り着信を確認した。画面を見ることもなく応答すると、相手側は繋がると思っていなかったのか不意をつかれたように小さく、あ…と声を漏らしていた。
「もしもし?」
「…蒼空、俺だ」
「ん?えっ、ほっちゃん?どうしたんだ?お前から掛けてくるなんて槍でも降るのか?そういう前触れか?」
「おい…人の事なんだと思ってるんだ。あとほっちゃんって言うな。じゃなくて、今時間空いてるか?」
話を聞くだけならと快く頷くと北斗は電話越しでも緊張しているとわかるほどぽつぽつと言葉を発した。
「ええっと…俺たち夏休みに、本格的にレッスンをするんだ、学院で。転校生はつい先日別の仕事から帰ってきて、約束してたからプロデュースをしてくれる。それでなんだが、蒼空と、目良先輩は手が、空いていないだろうかと」
「俺と黒斗?…んー、俺はまぁ、仕事は学校始まる直前にあるからそれまで暇だしいいけど、あいつは今、まさに仕事中でさ。帰ってくるのは明日、明後日どっちかだけど…今はもう寝てるから連絡とれないし」
「そうか。よかったら蒼空だけでもいい。暇だったら、監督というか…コーチというか。」
何で俺が?なんて質問をしようと思ったがまぁそれは先輩として察する。実力が着々と上がっているTrickstar。S1、DDD、桜フェスと目に留まりやすい舞台を踏んでいくにつれ知名度も上がった。もちろん期待も。
その為に一層頑張らなければならないのはアイドルの運命。ファンを裏切るようなことはできないという正直恐ろしい世界だけど、
「学生なのに頑張るなー?暇だから行くよ。何時から?」
「蒼空も学生だろ…。時間はあいまいだが早朝からの予定だ。付きっきりっていうわけじゃないから来れる時で構わない」
「そう?じゃあ準備が出来次第行くようにする。黒斗には俺が連絡しとくよ」
そう言って通話を切る。黒斗に連絡。とは言ったもののあいつもやるつもりのないグラビア撮影をして帰ってくるんだから満身創痍だ。帰ってきて寝たいとか、休みたいだろうし、わざわざTrickstarのレッスンについてくる程の元気なんてあったもんじゃないよな。
「というか、無傷なら良いんだけど。怖いなー。あいつ1人ぼっちで大丈夫かなー」
再度風呂に頭までどっぷりと浸からせる。水の中は無音で心地がよい。本当なら夏は海だとかプールだとか言って潜りたいが1人で行くほど俺も不憫じゃない。
「…。」
静寂で考えるのは、自分のこと。夏休みの終わり頃の仕事は確か…
俺単独の長い長いロケだったっけ。
NEXT::
「夏休みだぞ~?帰ってこいよ…?」
分かりやすいよう溜め息混じりに相手に告げる。先日から久しぶりに仕事だと連れ去られた同居人は今だ帰ってこない。明日か明後日か。どちらにせよあまり期待はしていない。事務所も、せっかくのチャンスだとなかなか返してくれないのかもしれない。
「やば、お風呂の水溢れてるかも…!」
長話をしたつもりは無いが心配になり浴室へと掛ける、残念なことに淡い期待は砕かれ浴槽からお湯が溢れていた。またも溜め息を吐き蛇口を閉める。
あー、黒斗がいればこういう時、もうすぐだぞって声かけてくれたり閉めにいってくれるのに。
「甘えすぎかなぁ」
黒斗の親が持っているこのマンションは2人で住むには贅沢な気もする3LDK。俺の部屋と化した一室に、着替えを取りに行く。
背の低いタンスを引きパンツからパジャマから取っているとCDを始めヘッドホン諸々を置いているタンスの上でぱたんと何かが倒れた。勢いよく引きすぎたかな?
「あ、」
倒れたのは写真立てで、それを持ち上げると入っていた写真は幼い頃に北斗と撮った写真。昔ふざけているときは北斗しちせーなんて呼ぶけど本人は予想以上の拒否反応を見せるから、最近は自粛している。見つけやすくて有名で、良いと思うんだけど。
「あいつらは夏休み、何してんのかな」
俺や黒斗みたいなプロデビューをしていないあの4人は、今ごろ学生らしい夏休みを送っているのだろうか。どこか遊びにいったり、はたまた部活したり?一所懸命にレッスンでもしてるだろうか。
写真立てを元の位置に戻し、着替えを持って浴室に行く。お風呂から上がったら10時…普段から黒斗はもうその時間に寝るし俺も寝ろなんて言われて眠りにつく。そのせいか服を脱ぎながらあくびをする。もう頭は寝る準備ができているようだ。1人静かなこともあってやけに早い。
「でもやっぱ風呂は欠かせないよなぁ…」
体を洗ってお湯に浸かるとほかほかと気持ちの良い暖かさに大きく深呼吸をする。同時に一気に眠気が襲ってくるが、それを知ってか知らずか、脱衣所に置いたスマホが微かに音を立てているのが聞こえた。
「えぇー?なんだよ」
愚痴りながら身を乗りだし浴槽に浸かったままスマホを取り着信を確認した。画面を見ることもなく応答すると、相手側は繋がると思っていなかったのか不意をつかれたように小さく、あ…と声を漏らしていた。
「もしもし?」
「…蒼空、俺だ」
「ん?えっ、ほっちゃん?どうしたんだ?お前から掛けてくるなんて槍でも降るのか?そういう前触れか?」
「おい…人の事なんだと思ってるんだ。あとほっちゃんって言うな。じゃなくて、今時間空いてるか?」
話を聞くだけならと快く頷くと北斗は電話越しでも緊張しているとわかるほどぽつぽつと言葉を発した。
「ええっと…俺たち夏休みに、本格的にレッスンをするんだ、学院で。転校生はつい先日別の仕事から帰ってきて、約束してたからプロデュースをしてくれる。それでなんだが、蒼空と、目良先輩は手が、空いていないだろうかと」
「俺と黒斗?…んー、俺はまぁ、仕事は学校始まる直前にあるからそれまで暇だしいいけど、あいつは今、まさに仕事中でさ。帰ってくるのは明日、明後日どっちかだけど…今はもう寝てるから連絡とれないし」
「そうか。よかったら蒼空だけでもいい。暇だったら、監督というか…コーチというか。」
何で俺が?なんて質問をしようと思ったがまぁそれは先輩として察する。実力が着々と上がっているTrickstar。S1、DDD、桜フェスと目に留まりやすい舞台を踏んでいくにつれ知名度も上がった。もちろん期待も。
その為に一層頑張らなければならないのはアイドルの運命。ファンを裏切るようなことはできないという正直恐ろしい世界だけど、
「学生なのに頑張るなー?暇だから行くよ。何時から?」
「蒼空も学生だろ…。時間はあいまいだが早朝からの予定だ。付きっきりっていうわけじゃないから来れる時で構わない」
「そう?じゃあ準備が出来次第行くようにする。黒斗には俺が連絡しとくよ」
そう言って通話を切る。黒斗に連絡。とは言ったもののあいつもやるつもりのないグラビア撮影をして帰ってくるんだから満身創痍だ。帰ってきて寝たいとか、休みたいだろうし、わざわざTrickstarのレッスンについてくる程の元気なんてあったもんじゃないよな。
「というか、無傷なら良いんだけど。怖いなー。あいつ1人ぼっちで大丈夫かなー」
再度風呂に頭までどっぷりと浸からせる。水の中は無音で心地がよい。本当なら夏は海だとかプールだとか言って潜りたいが1人で行くほど俺も不憫じゃない。
「…。」
静寂で考えるのは、自分のこと。夏休みの終わり頃の仕事は確か…
俺単独の長い長いロケだったっけ。
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