イベントストーリー
What is your name?
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少し離れているせいか見えないが俺の顔は今完全に疲れきっていてとてもみんなに見せられる顔じゃない。
「っくそ」
夕方の一件があってからというもの、直後のような痛みは無いがいまだにジクジクと痛む左目。先程から鎮痛剤を飲もうとすると泉に飲みすぎたら危ないからと止められる。確かにこの鎮痛剤、副作用あるとか言ってた…か。
あの後俺は海の家の横に座らされ休んでいた。泉も嵐もずっと付き添うつもりだったのだろうがあの転校生1人では手が回らないだろうと、俺は平気だと言って2人を手伝いに向かわせた。それが気にくわないのか泉は今でもぐちぐちと文句を言い続けている。俺としては1人になりたかったというのもあったのだが、
というか、当の転校生はいつまで翠に付き合っているんだろう。約束とかなんとか言ってたが…そう思いながら溜め息を吐くと少し離れたところから鉄虎が声をかけている。あぁ、解放されるみたいで安心してるな。分かりやすい表情だ。
「えっ、転校生さん!もう脱いじゃうんすか!」
翠のがっかりした声に少し眉を下げながらも解放された喜びに走ってくる転校生。わかってはいるものの女が近づくと少し構えてしまうのはもう癖と言ってもいい。
「黒斗!俺たちとUNDEADがライブをしているときになにか事件があったと言うのは本当か?」
急に左側から大声が聞こえてきて必要以上に肩が跳ねる。左は、見えないんだよ。お陰で野菜がひとつ落ちただろ…。体を向けて見るとそこには千秋の姿。もう解決した事に悪だ正義だと必要以上に首を突っ込まれても、こいつに何かあると困る。実際あんな集団はどこにでもいる。今回みたいにライブの盛り上がりに乗っかってというのも多いだろう。
「ま、まぁな、でももう大丈夫だ。」
「そうか?しかし左目を痛めたと聞いた。俺になにかできることはないか?」
「いや、ないんじゃないか?」
「そうだ。おまじないをしてやろう!」
「まじない…?あー、そういうのは…」
俺の制止の言葉を無視しお得意のハグを繰り出す千秋。俺の頭を撫でると同時に痛い痛いの飛んでけー、なんて何度か呟く。
「よぉしよし。明日以降もライブは続くからな!何かあったらすぐ俺を呼ぶんだぞ!」
「いや、俺たちも雑誌の撮影とかあるからこっちには参戦しないぞ?」
千秋を引き剥がし溜め息を吐く。どうも距離感がわかっていない奴は苦手だ…スキンシップは心の繋がりを強くするとかよく聞くが、強くしたって心の裏が読める俺には上っ面の行動としか思えない。
まぁ、千秋に関しては心で思ったことより体が先に動いて、本心も結局馬鹿正直だから上っ面というわけではないのだが。
「黒斗ちゃん…!お肉食べない?明日も暑いから体力とか余計に削られちゃうでしょォ?今の内にスタミナつけておかないと!」
「黒斗はもともとバランスの良い食事自分で作れるからスタミナはあるでしょ?問題はやる気じゃなぁい?」
嵐が俺の隣に座り肉を薦めてくる。あろうことかあーん、なんて言い出すものだから正直距離を置いたのは言うまでもないだろう。とはいえ、嵐の傷つく顔は苦手だししょうがなく口を微かに開ける。
遠慮なしに、そして語尾にハートをつけながらあーんと嵐に放り込まれたのは絶妙な焼き加減と肉の味。
「ってあっっつ!?」
油断していた、まさか焼きたてとは…
猫舌の俺は予想もしておらずその場で口を両手で覆いひたすら口の中で冷まそうと必死に息を吸い込んだり吐いたりするが一向に熱は冷めることなく火傷をした感覚にすら陥る。
「黒斗ちゃん猫舌だったのね…意外だわァ?でもそこが可愛い!」
「はふっ、可愛い言うな!」
必死の思いで可愛いという単語を拒絶し肉を飲み込む。喉も熱い。駄目だ火傷だなこれは、なんてあり得ないことを考え俺は溜め息を吐いて頭を抱える。
猫舌って…可愛いのか?
と、まったく関係ないことを考えながら。
「黒斗って、本当可愛いって単語に過剰反応しすぎだよねぇ?でもこの間の七夕祭で、てっきり吹っ切れたんだと思ったんだけど?」
「…吹っ切れてるわけないだろ。わかってて言ってんなら殴る」
「暴力とか、あの頃じゃあるまいしぃ…?」
「でも、可愛いってそんなに嫌なものかしらァ?黒斗ちゃん確かにイケメンとも言えるけど、中性的な顔だから可愛いのも似合うじゃない?それって得してると思うんだけど」
「なら真もそういうことか…そう捉えれば良いのか。モノは捉えようか…?いやいや」
1人でぶつぶつと呟くとふと、なんでもわかってる風の泉が俺の肩に手を置き謎の笑みを浮かべている。こいつもしかして真と同じ理由で俺の後ろをよく付いて回ってたのか…?年を重ねるにつれ格好良い方面が増えていった俺だが、今でもマネージャーがそういう、いわゆる男の娘の仕事を取ってくる気はあるみたいだし。似合うなら、そのやる気があるなら俺だってやっていたが…
「俺じゃ気持ち悪いだろ」
「そんなこと無いわよォ!ね!泉ちゃん、ほら、転校生ちゃんも…!」
「俺はノーコメント」
「私は、み、見てみたいとは思います」
頼むから誰か否定してくれ。
出航!海上の海賊フェス</font>::END
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