イベントストーリー
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「まじかよ…」
なんの因果か、それとも呪いか。
わざわざ夏休みに海に出向いて…というか無理矢理連れてこられて、その上転校生に会う。
さっきから海ですれ違う女全員が敵に見えていたのにここでラスボス。
「おにーさん?水着着てないみたいだけど、アタシたちと遊ばない?」
「っ…」
そのラスボスに勇者の蒼空を連れていない状態で近づきたくはないと1人離れた所に残っていると先程からこんな感じで声をかけられてしまう。
制服だったら周りの女も遠慮して話しかけないのに私服だとやけに大人に見られる。いわゆるナンパとか逆ナンとかに縁がありそうな年齢に見られるわけで…
「えぇと」
「やーん、もしかして奥手?それとも逆ナン待ちだけどいざ話しかけられちゃって緊張した?」
「…っ、死、ぬ」
夏の暑さか女共のせいか俺はさっきからホテルまでの道と砂浜を行ったり来たりだ。泉と嵐がさっさと戻ってくればホテルに帰ろうって言えるが、戻ってこないばかりに単独でホテルに帰るわけにはいかない。
縁起でもない短い悲鳴をあげ俺は女に背を向け先程と同じようにホテルまでの道を走り、人気のない場所に隠れる。
バカンスだかバケーションだか知らないが、女がいればいい迷惑だ。
「今回だって…泉が泣きながらどうしても一緒に海に行こうって言うから来たら、まさか撮影だったなんて。」
近くにあった木陰に身を潜め、木に寄りかかって事の経緯を整理する。
確か数日前、嵐が疲れた顔をして廊下を歩いてて…事務所に色々取り繕ってわがままで休止していた泉を無傷で復帰させる交渉をしたとかなんとか。
あー、事務所と言えば俺もしばらく連絡とってないなと頭の隅にわいたがそれもつかの間。その次の日に泉が涙目で一緒に海に行って!なんて懇願してくるから昔の癖で泉を甘やかした。というか完全に付き人感覚でもちろんって返事をしてしまった。
それで今日。
なにも知らない俺はさながらマネージャーのように泉の後ろにつきながらスタジオまで行った。そこには嵐がいて俺を見るなり泉に、どうして?どうやって?誰が説得したの?なんて質問攻めをしていた。
なんのこと…と思うのと同時に満面の笑みで俺と泉に衣装である水着を渡してきたスタイリスト。あいつ本当許さない。
「とにかく…罠だった、俺は悪くない。それに、復帰するつもりなんてなかったのに…」
今思うと、背筋が凍る。寒い、とさえ思える。撮影してるときは訳もわからず流れに流されなすがままだったが、よくもまぁ今日乗りきったな…俺すごい。
「黒斗ちゃーん」
「黒斗~?」
「あ…」
すっかり回想に耽って忘れていた2人の声が耳に届く。やっぱりスマホ、ホテルに置いてきたのは失敗だったな。連絡の取りようがない…
「やっと見つけた!ちょっと、転校生ちゃんの為に水着選びにいくんだけど一緒に行く?」
「ちなみに俺は行かないけどぉ、行かないと行かないで海の家とかなんかの手伝いさせられるんだよねぇ」
「嵐、誘いは嬉しいが…俺がその誘いにのると思うか?それなら海の家で手伝いの方がましだ…。でもできることなら家に帰りたい。蒼空は今日ちゃんと飯を食うだろうか」
「黒斗ちゃんって蒼空ちゃん大好きよねェ~?」
「とにかく、なるくん行くならさっさと行ってきなよぉ?プロデューサーの仕事はまだ山盛りなんでしょ?それを置いて水着買いに行くとか言い出したんだから早く戻らないと文句言われるよ」
そう急かされた嵐と転校生は足早に立ち去っていく。それを見送るや否や泉が俺の手を掴み手伝い行くよぉ。なんて引っ張る。
こいつ、2人になるとスキンシップ激しいんだよなぁ。昔はよく2人で行動してたからその時の持ちつ持たれつな感じが2人きりになるとふつふつと沸いてくる。それが理由なのかもしれない。
「いつまでも子供って訳じゃないんだが、」
「なぁに?」
「いや…それで?海の家の手伝いって?」
訪ねながら海の家の横に立つとそこにはUNDEADの奴らが接客をしている。といえど、晃牙は暑さで倒れてるし、零はいない。薫は…口説きながらだし…まともなのはアドニスただ1人。
「接客だってさぁ。UNDEADみたいに衣装とか、無いだろうから、この服で」
「いや、え?なんだこれ、俺のこれ。なにこの真ん中のゆるキャラみたいなのは」
ださいよねぇ?なんてクスクス笑いながら俺にそれを着させようと迫ってくる泉。衣服の着脱は自分でできるからとやんわり断ったが、この、変なTシャツは…
溜め息をつきながらもそれに着替え、いざ接客へ。とはいえ、ここは学院内ではないせいか一般客が多い。つまり女も多ければファンも多い。
「あれ泉くんじゃない!?」
「うっそなんでッ!?」
うわ、と思わず声を漏らしてしまう。海賊風のTシャツに着替え手伝いをしている泉を後ろから指をさしたり一定の距離を保って近づくファンがそこかしこに現れる。俺はといえばアイドル活動もモデル活動もほとんどしていなかったためもうすでに忘れ去られた存在だろう。DDDに来た観客の1人くらいなら覚えていてくれてるかもしれないが。
「いや、目立たない方が逆にいいか…」
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