イベントストーリー
What is your name?
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「鬼龍、こっちだ…おかしな状態になっているな。なぜ肩車をしている。あと、目良まで来てくれているとはな」
俺たちの姿を見つけた敬人が天満と、肩車をする紅郎を見て眉間に皺を寄せる。あぁ、こいつほんとに皺取れなくなりそうで心配だ。
「おう、蓮巳。すまねぇ嬢ちゃん、俺はここでお別れだ。ここに七夕祭の特設ステージを設営中でな、その手伝いに呼ばれたんだよ」
そういうと正直不安なのか天満を見る転校生。
まぁ、その気持ちはわからなくもない。天満は先ほど怒られたのはすでに頭に入っていないのか、紅郎の肩から飛び降りる。
それを見て珍しく溜め息を吐いた蒼空に目をやると子供ができるとああなるのか、と呟いていた。
「いや、ちゃんとしつければああはならないと思うが…そもそも俺にとってあいつは特殊だと思うぞ。あまり見ることもないが今のちょっとしたジャンプもなかなか…あぁでも俺にとっては視界に入ってないと恐ろしいタイプだな。見失うと怖いだろ。」
「片目が見えてない黒斗には確かに怖いかもな…あっち行ったりこっち行ったりは…」
まったくもって蒼空の言う通りで実際視界の幅が狭い分、物との距離感もたまに危うい時がある。足元のものなんかはよく…
「ぉおわぁぁ!!」
「黒斗ー!?」
何の機材か、それとも資材か俺はそれにつまずき顔面から地面へとダイブする。
寸でのところで蒼空が俺の腕を掴むが抵抗むなしく2人揃ってその場にぶっ倒れてしまった。
「何やってるんだ貴様ら…」
とっくに話が済んで準備にかかろうとした敬人が俺たちを見て、度し難い。と一言。
「こんなところに物置くからだろ…」
「こんな重たい資材を他にどこに置けというんだ…?とにかくそこをどけ。まったく、星宮はいいとして、目良はそういう面では不自由なのだから無理をするな…」
「俺はいいの!?俺も今怪我したんだけど…!鼻いてぇ!!」
呆れながらも俺に手を貸す敬人…。蒼空は紅郎に手を貸してもらっているようだ。
「貴様らの手伝おうという気持ちはありがたいが…どじを踏まれると台無しになりかねん」
「グサッとくるがまぁ、その通りか…。蒼空だけでも手伝ってやれよ。俺はなんか…そうだな…やるせない気持ちで見てるからよ」
「そういわれるとやりにくいだろ!遠慮なく手伝うけどな。黒斗もたまには見るだけの努力もすればいいんじゃない?」
見るだけの努力、か。
見るだけなら今まで散々してきたというのに。他のユニットのパフォーマンス、蒼空の単独ライブ。全部そうだ。嘆くこともなく無心で観てきた。どうせ嘆いたところでトラウマは消えないし、まるでアレルギーのように発作が起きるならこのままステージに立たなくてもいいと思ってた。
それが今じゃ立てるように頑張らなければ、なんて。
「あいつらの頑張る姿が、胸に響いたって感じだな」
仕方なくわかったと一言告げ、みんなほっとしたように胸を撫で下ろす。俺が駄々こねるとでも思ったのかよその反応は…
ふと敬人がちらりと企画書に目を通し紅郎と颯馬に指示を出す。
「あ、俺が現場監督するとか?」
「…頼むからおとなしくしていてくれ」
そう言うと敬人がしかめ面を隠さず俺に向ける。つまり、何もするなと言いたいのだろう。まぁ見ればわかる。というのを敬人もわかっているからそれ以上は口には出さないのかもしれない。しょうがない…本当に俺は黙ってみているしかないか。
溜め息を吐いて、何もできないことに半分いらいらしながら簡易的な椅子に足を組んで座った。それを見た颯馬が気を利かせたように俺に駆け寄ってくる。
「目良殿、なにか飲み物を買ってきてほしいのだが」
「いくら気を遣ってるにせよ俺はパシリじゃないんだけどな…まぁ暇だし行ってやるよ。なんか周りがバタバタしてんのに俺だけこうしてるのは落ち着かないしな」
「かたじけない。一応蓮巳殿から2000円を頂戴している。これで人数分買ってきてほしいと」
「俺、これでもまだプレゼンターって肩書持ってるから、それは返しといてくれるか?みんなに俺から飲み物をプレゼントしたい。」
「ふむ、一学生がそう容易くぷれぜんとをするのはなかなか難しいと思うのだが、目良殿はどこから資金を…」
「んー、空から…?」
そう言い残して売店へと飲み物を買いに行く。颯馬は何も疑うことなく敬人に、目良殿は空から資金を得ているそうだ!と大声で伝えていたが、ちらりと後ろを振り返るとそんなわけないだろうと一喝する敬人が見える。
それが微笑ましいというか、正直そういうのを見ると俺は少し離れたところで保護者のような気持ちになってしまう。
「昔っから大人の世界を知ってるから、大人びてしまったんだろうか」
スマホを制服のポケットから取り出しながら呟く。そのまま慣れた手つきでタップをして電話を掛けた。
「もしもし、あー、お疲れ様、です。今さ、ステージの設営してる奴らに飲み物買ってやりたいんだけど…あぁ、んー、1人2本くらいで考えたら22、かな。はい、それじゃ今から売店行くんで、箱で用意しておいてくれ…ください。それじゃ」
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