ロノくん
朝の1時間
『おはようロノ~…』
「ん。おはよう主様」
『ふわぁ~』
「はは、無理して朝早くに起きなくてもいいんですよ」
『…む。私は少しでもふたりきりの時間を作りたいからこうして起きてるのに……』
キッチンに立つロノの隣に肩が触れるほどぴったりとくっつく。
「わざわざバスティンに1時間遅く寝てていいっていってまで、な?」
『…今日のロノいじわる』
「へへ、たまにはこういう俺もいいんじゃないんですか?」
トントンとリズムよく野菜たちを切る彼の振動を身体で感じながらそんな彼の肩に自分の頭を乗せる。
「今日は一段と甘えん坊だな」
『…たまにはこういう私もいいんじゃないんですかー?』
「あ、真似したな」
笑顔でこっちを見るロノに思わず私も笑顔になる。
存分にロノを充電したところで私も朝食の準備を手伝う。いちゃつきたいのは山々だが邪魔をするだけでは主失格なので適度に甘えつつちゃんとお手伝いもこなす。これこそ完璧な彼女ってやつね!
「そっちは野菜煮込めました?」
『うん、ばっちりだよ』
「ありがとう、さすがは俺の主様だ」
『主様ってだけ?』
褒めながら頭を撫でるロノを見上げながらそう聞き返すと照れくさそうに鼻をかきながらロノが口を開く。
「俺の、彼女…だな」
『よくできました』
目を反らしている彼に不意打ちでキスをする。
不意をつかれたロノは頬を真っ赤に染めて私を見る。そんな彼を見て笑いながら煮込んでいる鍋のところへ戻ろうとする。
「へへ、やられっぱなしは俺の性に合わないんですよ、彼女様」
踵を返した私の腕を引っ張って振り向かせるロノに私の唇がふさがれる。しばらくの間そのまま離してもらえず鍋が噴き出した音でロノが私を解放してくれた。
「今日はここまでだな」
『もう、負けず嫌いなんだから…』
「へへ、すみませんね」
本当に幸せそうなそんな笑顔見せられたらますます好きになっちゃうのもしょうがないよね。
そのあと眠そうにバスティンが起きてきて朝食の準備を本格的にし始める。
この、少しの間だけでもロノと恋人でいられる時間が本当に大切で愛おしい時間。
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