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ボスキくん



俺くらい。





『ボスキはさぁ…今まで好きな人とかいたの?』


「…そりゃあ俺も無駄に生きてねぇからな」


『どんなひとが好きだったの?髪は長い?可愛い系?綺麗系?付き合ってたの?』


「うるせぇ、質問しすぎだ主様」


『えー気になるー』




俺の主様が明らかに俺に好意を持っていることは俺でもわかった。
いつからなのかまではわからねぇが、いつからかこうして俺のことを根掘り葉掘りと聞いては時間を共有している。
正直、どう答えるのが正解かはわからないから、それとなく流すことにした。
フェネスにも相談をしたがそうするのが良い、と言われたからでもあるが。




「ほら、俺も仕事があるからもう行くぞ」


『む…専属になる前はサボりがちだったのに最近冷たい…』


「サボった覚えはねぇが、主様のためのインテリアが思いつくもんでな」


『え、それで最近屋敷の雰囲気変わってたんだ!』



主様の部屋から出ようとする俺のの後ろをついてきながらも話をやめない主様に俺は振り向きながら口を開いた。



「そうだぞ、主様のことこんなにも好きな執事は俺くらいだろ」


『…!』


俺の言葉に驚いた主様の顔が火が噴いたかのように真っ赤になった。一気に目が泳いであたふたと脳の処理をしている姿に思わず吹き出して笑うと、ようやく冷静になった主様が俺の義手の方の腕をか弱い力で叩いてくる。


「おい、義手がまだずれるだろ」


『ずれちゃえずれちゃえ!ボスキのくせに!』


「んだよそれ。ったく…さっきまで可愛い顔してたのによ」


『…っ!も、もう!さっさと私のことでも考えながらインテリアしなさーい!』



部屋から追い出されて勢いよく扉を閉める主様に笑いが止まらず、そのまま廊下を歩く。
このまま主様が俺だけを好きでいて俺が隣でその話をずっと聞いて、こうして俺の一言で表情をコロコロ変えてればいい。


そしていつか、その時が来たらちゃんと俺も伝えよう。





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