フルーレくん
スイーツショップの噂
バァン!
「わっ!なに?!天使?!」
『フルーレ!!私とデートしよう!!!』
「あ、主様??!」
ということでフルーレと街に来ました。
甘いもの大好き同盟のひとりであるアモンから街に新しくスイーツショップができたという情報を手に入れいきたくなったのだ。
ただ、なんとなくアモンや他の執事と一緒なのは他の女性からの視線が痛そうだったので気兼ねなく話せる上に違和感のないフルーレを連れていくことにしたのだ!ごめんねフルーレ!
「わぁ…何回来ても新しいお店が並んでいて新鮮ですね主様…!」
『そうだね、新しい衣装服屋さんもできてるらしいからあとで回ってみよう』
「良いんですか!嬉しいです!」
目をキラキラさせて街を見回しているフルーレ。
先程までデートと言う言葉に緊張していたのかどぎまぎしていたのが嘘のようでおもしろい。
『お腹すいちゃったから私の用事が先でも良い?』
「もちろんです!主様のご用事で来たんですから!頼りないかもしれませんがちゃんと主様のことはお守りします!」
『ふふ、ありがとうフルーレ』
アモンから教えてもらった情報を元に街を歩く。
こうしてフルーレを並んで歩いていると元の世界で友達と並んで遊びに行った記憶が思い出される。
『ここだ、行こっ』
「ひ、人が多いですね……」
『最近オープンしたみたいだから注目されてるみたい』
「ちゃ、ちゃんと主様を守らなきゃ…!主様、俺から離れないでくださいね…!」
『スイーツショップで大げさだよ』
クスクス笑って中へ入ると甘い香りがお店の中に充満していた。
スイーツがたくさん並べられたショーケースを眺めているだけでもよだれが出てくる。幸せな光景だ。
「主様はどれにいたしますか?」
『どれもおいしそうで迷う…!どれにしよう~…!』
「主様、とりあえず4つに絞れそうですか?」
『4つ?うーん…じゃあ、このチョコケーキと…フルーツタルトも食べたいな…あーんくまさんの乗ってるショートケーキもいいな!…あとはー…アップルパイにする!』
「わかりました、じゃあその4つにしましょう」
『フルーレは?』
「ふふ、俺は主様が食べきれなかったらいただきます」
『そ、そんな…私だけ食べるなんて…』
「大丈夫ですよ!ほら、店員さんが見てますよ」
結局その4つを頼んでケーキが届くまで席で待つことになった。
マナーのなっているフルーレがかわいらしく雰囲気の椅子に座っているとお人形さんみたいに美しい。
それを周りのお客さんも思っているのかフルーレは視線を浴びていた。
「主様…俺……今日変なところがあるでしょうか…」
『ううん、全然。こういうお店に男の子がいるのがちょっと不思議なのかもしれないね?』
「そ、そうです、か…」
あくまでフルーレの気分を害さないように答える。フルーレが嫌がることはしたくない。
しばらくしてお皿に盛られたケーキが私たちの前に並べられた。
キラキラと輝く甘味に食べるのがもったいないくらい。
「さぁ主様、遠慮せずに召し上がってください」
『うん!いただきます』
フォークで一口サイズにして口に運ぶ。あまくてふんわりとした生地が心の底から幸せへと変わる。
満面の笑みで堪能していると目の前のフルーレがこちらを愛おしそうに見ていた。目を細めて、頬を染めて、これ以上ないくらいに穏やかに。
「主様が幸せそうで俺もうれしいです」
『…その表情、ずるい。フルーレもせっかく来たんだから食べてみて』
「た、食べてって…自分で食べれます…!」
ケーキをフルーレの口元に持っていくとさらに顔を赤くして困惑している。
あわあわと慌てふためいて人見知りを発動させているときのように困り果てている。
『お口あーん』
「あ…あーん…」
小さなお口が閉じられてフォークを引き抜く。恥ずかしそうに口元に指を添えてもぐもぐしている。
その様子を私と周りの女性たちも見つめている。
「お、おいしいです…」
どこかの漫画の世界なら卒倒して倒れている女性がいてもおかしくないほど可愛らしいフルーレにそのあともほかの種類のスイーツを食べさせた。
後半のフルーレはもうやけくそになっていたのは内緒。
『フルーレ、怒った?』
帰り道、衣装服屋さんにも寄らないと言い張るフルーレと馬車で屋敷へと向かっていた。
頬を膨らませているフルーレにおずおずと話しかける。
「怒ってないですよ」
『怒ってそうだけど…』
「主様、今度からスイーツを食べたくなったらロノに言いましょう」
『え?なんで?』
「今度は俺が主様に食べさせたいからです!!」
『え、ええええええ』
デートは大成功とは言えなかったけど、次の楽しみができたから、結果オーライかな?
その後、街のスイーツショップでは女性が男性にあーんをさせると幸せが続くといううわさが流れたそうな。
噂のもとになったスイーツショップに現れた天使ことフルーレ
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