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ラトくん


彼の楽しみ





「主様」


『…ん?ラト、どしたの?』




とある昼下がり、ウトウトしながら日向ぼっこをしていると後ろからラトに声をかけられた。
思考を無にしていた私はぼーっとラトの方を見る。



「少し試したいことがあるのですが主様にそれをしてもいいですか?」


『ん?んー…いいよう』



窓から差す日差しの温かさが気持ちいい。
強すぎずまぶしすぎないこのほっこりする温かさ。椅子の柔らかさも相まってサウナの後に整うような充実感。



「ふむ…主様失礼します」


『…?わっ』


椅子と私の腰に腕を突っ込んだかと思うと膝裏にも手を添えて持ち上げられる。
急な浮遊感と抱き上げられていることに驚きラトを見る。



『な、なになに?!なにするの?!』


「こうですかね」



私が今まで座っていた椅子をどかしそこにラトが座ると自分の脚の間に私を降ろす。
なんとか着地したことに安心してラトにもう一度問いただそうとすると後ろから抱きしめられる。
背中にラトの胸板の感触が伝わってくる。


『こ、これはなあに?』


「書庫で読んだ本に書いてあったんです。人間同士のハグには幸福度があがるらしいですよ」


『そ、そうなんだ。ラトは幸福感が欲しいの?』


「うーん。私というより主様に感じてほしいですね。私は幸せにしてあげたいです」



言葉と同時に腕に力を籠めることで自分の気持ちを伝えてくる。
耳元でラトが話すたび彼の妖艶な声に耳からゾクゾクと身体に小さな快感が走り、思わず目をつむる。



『う、嬉しいな。でもちょっと突然すぎて…ビックリの方が勝っちゃてるかなぁ』


「驚くのは今だけですから…もう大丈夫ですよね?」


『え、まだあるの?』


「クフフ…気になることはなんでもしてみたいですね」


『な、なにをするつもりなの…』



ただでさえ普段から何を考えているのかわからないのに、今のラトはなにをしでかすのか…。
命にかかわることはしないでほしいなぁ…



「主様が幸せになることはなんでもしてあげますからね」



まぁ、ラトがたのしんでいるのならいっかぁ。




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