ラムリくん
「ねぇ、お願い。主様」
「僕を………僕を捨てないでください」
「主様がいたら……他に何を失ってもいいんです。主様が僕をそばにおいてくれるのなら」
『ラムリ!なにしてるの?』
「主様!ふふーん♪お掃除頑張った自分へのご褒美にお菓子を食べてるんです!」
『お菓子…?ってあれ?これ、こないだナックが買ってきてたお菓子と一緒だ』
「主様もひとつどうですか〜?僕と一緒に食べましょう!」
『あはは、ナックに怒られちゃうよまた』
「ナックが突っ掛かってくるとほんとうざいんで……主様と僕の秘密にしましょ♪」
『絶対バレちゃうに1票!』
3階執事の部屋の隅で隣同士座る私とラムリ。
どこから持ってきたのかは大体予想がつくお菓子を頬張るラムリを呆れて笑いながら口元についたお菓子のクズを拭き取る。
「主様!そういえばどうして3階に来たんですか?」
『あ…えっとね……えへへあっちの世界で忙しくなりそうで…しばらく来れないから執事たちにそれを伝えてたの』
「え………主様、最近頑張りすぎですよ…」
『そんなことないよ……あっちの世界ではそれが当たり前だから』
ラムリのいつもの笑顔がなくなって懇願するような顔で私を見ている。
「主様……?ダメですよ…?」
『え…?』
「なんとなく僕わかるんです…主様を見ていたからこそ、主様が今心の中で生きることを諦めようとしていること……」
『え………ぁ…』
「主様…なにが主様をそんなに追い詰めているんですか…?僕では主様を引き止められないんですか…?」
『ラムリ…』
「ここで一緒に過ごすことはできないんですか…?主様としての責任が重いのなら、僕と一緒に遠くへ行きましょう……だから…」
ラムリが私の腕を掴んで縋っていたがずるずると崩れ落ちて私の胸元に顔を埋めた。心なしか肩が震えている。
『……ラムリ、ありがとう。私の限界に気づいてくれたのはラムリだけだよ…』
「やだやだやだ!主様!!!」
私は
指輪を
外した。
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