ベリアン
このお話はお散歩中の様子を書いてます。ぜひアプリの方でもお散歩モードにしながらお楽しみください。
「では、主様。お散歩を始めましょう。無理はなさらないでくださいね」
『うん!』
「ふふ、主様とこうしてのんびりお散歩できる時間は嬉しいですね」
『そう?お仕事中断させてごめんね?』
「いえいえ、主様との時間が最優先でございます」
『ベリアンは普段みんなのフォローをしながら過ごすことが多いんだよね?』
「そうですね、基本的には屋敷を巡回しながら皆さんのお仕事の様子を見て私にできることがあればフォローをしております」
『すごいよね、そういう気遣いができる人って…。なんか、羨ましい』
「主様から褒めていただけて嬉しいです。あ、足元お気を付けくださいね」
『あ、ありがとう』
「主様も十分魅力ていな方ですよ。いつもお仕事を頑張られていて…お疲れにも関わらずこうしてお屋敷にも足を運んでくださって…私とこうして時間を過ごしてくださるなんて」
『そ、そんなことないよ…私もこうしてベリアン達と過ごすことでまたお仕事頑張ろうって思えるし…助かってる』
「でも、無理はしてはいけませんよ?頑張りすぎは身体にも心にもよくありません」
『はーい、わかりましたーっ』
「ふふ、お散歩もお仕事も主様のペースで頑張りましょうね」
『うん!』
「喋りながら歩いていますけど、息はあがっておりませんか?少し休憩をはさむのも必要ですよ」
『まだ大丈夫、ありがとう』
「そうですか、ならもう少し頑張りましょう」
『ベリアンは、いつからこの屋敷にいるの?』
「私ですか?そうですね…どれくらいになるんでしょうね。覚えていないんです」
『え?覚えてない?』
「ええ。過去を思い出したくないからでしょうか」
『なんか、ごめんね』
「いえいえ、お話しできるようなことがなくてすみません」
『誰しも触れてほしくない過去はあるだろうから…』
「そうですね、特にここの執事達はみんな絶望を背負って悪魔執事となっておりますから…」
『でもみんな…それでも笑顔で過ごしてるから、よかったね』
「そうですね、少しでも幸せだと感じてもらえるように私も頑張るつもりです」
『私も、頑張るね』
「ありがとうございます。主様。」
『ベリアンは紅茶が好きなんだよね?』
「はい。いろんな茶葉を集めてブレンドしたり、ティーカップのコレクションなども集めております」
『そんなに好きなものに打ち込めるの私にはないから尊敬しちゃう』
「ふふ、紅茶は素晴らしいものですよ。調合次第でいろんな味ができます」
『あはは、今度私にも紅茶の本を貸してくれる?』
「はい!ぜひ読んでみてください。主様が私の好きなものに興味を持っていただけて嬉しいです」
『はは、そんな大げさな』
「ふふ、好きなものに興味を持ってもらえるのは本当に嬉しいものですよ」
『私も好きなものを肯定してもらえたら、確かに嬉しいかも』
「そうですよね、主様そろそろ休憩を致しましょう。屋敷から冷たいお水を持ってきていますので、少し水分補給をしましょう」
『ん、ありがとう』
「ハンカチを敷きましたのでこちらにおかけください。休んでからまた再開をいたしましょう」
『ふはぁ、水が染みわたる~』
「主様は本当に頑張り屋さんですね。尊敬します」
『私から見たらベリアンも頑張り屋さんよ?私以上に』
「そうですか?」
『私はいつも自分のことで精いっぱいだけど…ベリアンは自分のことに加えて周りのことも見落とさないようにちゃんとしてるんだもん』
「私は…自分のことよりも周りのみなさんに幸せになってほしいだけですよ。主様も含めて」
『そんなこと言ってるとまたルカスに「自分を大切にしなさい」って言われちゃうよ?』
「ふふ、善処します」
『さて、もう少し頑張りますかっ』
「はい、無理はしないでくださいね」
『うん、ちゃんと自分のペースは守ってるよ。むしろ合わせちゃてごめんね』
「いえいえ、主様のペースは私にもちょうどいいですよ」
『ならよかった』
「主様は、今のお屋敷は過ごしやすいですか?」
『うん、特に不便もなく快適に過ごしてるよ』
「そうですか、それは本当に良かった」
『こうしてベリアンとゆったりお散歩できるのもいいし…ロノのご飯はおいしい。バスティンも最近また木彫りのお人形くれたし、フルーレの衣装もすごくかわいい。アモンのお花はきれいでいい匂いだし、ボスキは気兼ねなく話せる相手だし、ハウレスとフェネス、それにルカスには頭が上がらないくらい助けてもらえてるし…ラムリもナックも喧嘩ばかりだけどそれも楽しいし、ミヤジ先生もラトも最近演奏を聴かせてくれるのよ』
「みなさんが今の言葉を聴いたらきっと喜ぶと思いますよ。こんなにも主様から想っていただけて、執事としてとても誇りに思います」
『そんな仰々しくしなくてもいいのよ?』
「すみません、少し硬すぎましたか」
『うん、今日は一段と』
「ふふ、主様とふたりきりで横に並んで歩くのが嬉しいのかもしれません」
『かもしれない?』
「あ、とっても嬉しいです」
『あはは、それは良かった』
「主様との会話はいつも楽しいです」
『私もだよ、ベリアン』
「こんなに晴れやかな気分は本当に久しぶりです」
『…最近、また天使が増えてるもんね』
「そうですね、本当に調べれば調べるほど不可解な存在です」
『怪我だけはしないでね…ベリアン』
「ありがとうございます。主様。主様のことも命をかけてお守りします」
『うん、信頼してる』
「早く…天使がいなくなった世界になってくれたらいいんですけど…」
『ね、ベリアン達も、なんの不安もなく、幸せにあってほしい』
「ふふ、主様が隣にいる、それだけで幸せです」
『そ、そういうんじゃなくって…こう、ベリアンにもベリアンのしたいことが自由にできる、ベリアンの人生を歩んでほしいっていうか…』
「主様…」
『そうだね…ベリアンにはとにかく休んでほしいかな』
「…休む、ですか?」
『うん、いつも周りに気を配っているし、夜中も研究に集中してるでしょ?私、知ってるんだからね?そのうえ私よりも早く起きて起こしに来るんだもん』
「主様…知っていたんですね」
『前にもほどほどにって言ってちゃんと休んでくれてるかと思ったらバスティンが夜にベリアンの様子を見に行くって言いだすから…』
「主様、申し訳ございません…。天使を早く葬るには天使のことで少しでも情報を選らなければこちらも打開策を得られないので…」
『それは…そうだろうけど…』
「それに、これは趣味みたいなものなので…ふふ、でも体調には気を付けるようにします」
『もう。ベリアンはいつもそういうんだから』
「主様は…」
『ん?』
「主様は、天使がいなくなったらもうこの屋敷にはこないのでしょうか…」
『え、そんなのわかんないよ…むしろこの指輪で急に行き来できるようになったのもびっくりしたくらいだし…』
「そ、そうですよね。申し訳ありません…」
『…天使がいなくなって平和になった世界になっても、この指輪を通じてまだこの屋敷に来れるのなら…私はきっと通い続けると思うよ。このお屋敷も私の中の生活の一部になっているし、ベリアンはいないといけない存在になっているもの』
「ありがとうございます…それを聞いて安心しました…いつも主様がいなくなってしまうことを考えると不安になってしまって…」
『…ベリアンってたまに孤独になることをすごく怖がるよね』
「…っ。主様がいない生活など私にはもう考えられません。私は主様の執事ですから」
『…休憩にしよっか、結構歩いたね』
「そうですね、ではまたハンカチを引きますね」
『ありがとう。ベリアンも大丈夫?』
「はい、私もいい運動になっております」
『はいお水』
「え!いえいえ、主様のお水をもらうなど…」
『いつも私の体調を心配するでしょう?私も同じだよ。ちゃんと水分補給しないと』
「わ、私は大丈夫です。主様がお飲みください」
『もう、脱水症状になっちゃったらまわりに迷惑かけちゃんだから』
「…あ」
『それに…ふふ、なんで私の分だけ用意して自分のお水持ってきてないのよ…本当に、自分に不器用すぎるでしょ』
「…っ、そ、それは…その……」
『あはは、他の執事はみていないんだし、お水はちゃんと飲んで?』
「あ、ありがとうございます…主様…」
『よし、じゃあもう屋敷に帰ろうか』
「かしこまりました、帰りも無理せずに帰りましょうね」
『うんっ』
こんな感じで何気ない会話をしながら、お散歩したいなぁ…。
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