このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

フルーレくん



小学生男子





「……」


『………』



ここは私の自室。今は専属執事のフルーレと一緒にいるのだが、「衣装を作ってもいいですか」という懇願に快く承諾をしたら目を輝かせて作業をし始めた。
ハウレスやベリアンからもよく言われるが私はフルーレに甘いらしい。
そんな自覚はないが、フルーレの仕草や表情、反応や行動が可愛くて目が離せない。こういうことを言うとフルーレが嫌がるのはラトとの会話から学んだ。
小さな手で一生懸命針を通しては引っ張り、針を通しては引っ張り、と裁縫をしているフルーレの姿は写真に収めて額縁に入れて美術品として飾りたいほどには美しいと思う。
なんなら動画として保存をしてスクリーンに映して毎晩寝る前に見るルーティンでも作りたい。



「…はっ、す、すみません主様…!退屈でしたよね!!」


『え?ううん。大丈夫だよ。久しぶりにゆっくり本が読めてるしフルーレの作業風景見てるのも悪くない』



本は手にもっているだけで一文字も読んでないけどね。
ほとんどフルーレの姿しか目に映ってない。
真剣な顔して布を裁断してはチクチク縫い始めて悩んだかと思えば目を輝かせてまた布を裁断し始める。
お裁縫をしながらこんな百面相をする男の子なんて可愛いの他言いようがない。



「主様!」


『ん?なに?』


「主様は、お花では赤い花と黄色い花、どちらが好きですか?」


『…?黄色い花かな』



唐突な質問に何も考えずに直感で答えてみる。
にっこりと微笑んでお礼を言うフルーレはまた作業へと戻った。なにか花が関係する衣装でも作ってるのかな、と思いながらまたフルーレの観察をする。
ふと時計を見ると、フルーレをここに呼んで3時間が経とうとしていた。フルーレを見ているだけでこんなにも時間が経つのが早いものか、と時の流れを呪いながらフルーレに話しかける。



『フルーレ。そろそろ終わりにしよう。寝る時間だよ』


「ちょ、ちょっと待ってください主様……アイディアが出ている間に完成させたくて…」


『ダメだよ、そういっていつも睡眠時間削って作業してるんだから』


「せめてここだけでも…」


『もう、そんなこと言うとフルーレが眠るまで私が隣で寝かしつけることになるけどいい?』


「そ、そん、な…!」



私の言葉に途端に顔から火を噴かせてどもるフルーレ。
こうなるともう作業に手を付けられなくなるから私の勝利。
なのだが、ついついからかってしまいたくなるのが小学生男子のような思考を持つ私。



『フルーレがそうしてほしいなら私も喜んで引き受けるけど…』


「お、俺はもう子供じゃありません!!」


『言うこと聞かない悪い子は子供ですー』


「な…っ!」


『よし、今日はここでフルーレ寝よっか。ほらほら』


「あ、主様!!!」



自室のベットへとぐいぐいフルーレを押すと抵抗してくるフルーレ。
痺れを切らしたフルーレがこちらを向いて頬を膨らませる。



「も、もう!寝ます!おやすみなさい!主様!!!」



走って私の部屋を出ていくフルーレに笑いをこらえて見送る。
本当、大好きだなぁ。伝わってないだろうけど。







そのころ地下の自室へと戻るフルーレー




「ぜ、絶対にもっと男らしくなって意識してもらうんだから…!主様…!」



繋がっているようで、どこかすれ違うふたり。







.
3/7ページ
推し!