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ボスキくん










「ふぁあ…ったく最近やけに忙しいな…昼寝する時間も主様と過ごす時間もありゃしねぇ」



ふと廊下を歩いていたらそんなぼやきが聞こえた。
廊下の曲がり角、すぐそこに声の主がいるのだろう。



『ボスキ!』


「うおっ…あ、主様か…驚かせんな」


『なんか疲れた声が聞こえたから』


「あぁ…すまねぇな。天使と出現頻度が増えたり遠征が立て続けに入ったりしてるもんでな」



その言葉通り、いつもけだるそうにしているボスキの顔にはやや疲れが見える。悪魔の力を使っているにもあって身体の負担が大きいのだろう。
ふぅとため息を吐いた彼が私の顔よりも下に視線を向けた。その角度は私からボスキのうなじが見えそうなくらい。


ポンッ


「……?」


ナデナデ


「な、なにやってんだ主様」


『いつも頑張ってる執事様に、ご褒美かな』


「子供扱いするな」


『嫌ならやめるよ』


「……まぁ、別にいいけどよ」




少しだけ見えた彼の口元は、微笑んでいた。
何を失っても生きる希望を失わないそんな彼が少しでも私を安らぎの居場所にしてくれたら良い。
そう思った瞬間でした。






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