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ベリアン




いつもと変わらぬ穏やかな空気が漂う私の自室。
今日も大好きな執事が熱心にノートを見つめながら私のそばで待機してくれている。
私がまったりしているときは特に何もしないことなんてわかりきっているのに。




『ベリアン』


「はい、主様?」




私が声をかけるとノートから顔を上げて、嬉しそうに微笑む私の執事、ベリアン。
彼のことが愛しくてたまらなくて私は心の底からあふれる気持ちを口にした。




『好きだよ』


「っ…え、あ、主様…?」


『ベリアンのことが好き』


「ですが…」


『大好きだよ…』




ベリアンが戸惑っていても、目を泳がせていても、何か口にしようとしていたって、一度口にしたこの気持ちは止まらない。
目と目が合うとようやく私の言葉は止まった。



「…私は、悪魔執事です…」



苦しそうにそう一言。
反射的に私は立ち上がった。



『そんなの関係ない、ベリアンっていうひとりの男性として好きになっちゃったんだもん』


「主様…」


『ベリアンが好きだよ』



真っ直ぐに言葉を伝えながら、ベリアンの前に立つ。
切なそうな表情のベリアンがすっと目を閉じると、決意したように目を開いた。
いつもの困ったような眉が少しだけあがった。



「私も…私も愛しております、主様」


『…ベリアン…!』


「私も主様のことが執事としてではなくひとりの男として愛しております」



彼の言葉に思わず目尻に涙がたまる。
うるうると今にも零れそうな涙を恥ずかしそうに笑いながら指で優しく拭ってくれる。
彼が笑うと私も笑う。
私が笑うと彼も笑う。



『一生幸せにするからね!!』


「ふふ、それは私のセリフですよ、主様」


『私だってベリアンに幸せになってほしいから』


「今でも十分幸せを頂いております」


『こんなものじゃ足りないからね、私のベリアンへの気持ちは!』


「おや…私もですよ。ふふ、覚悟しといてください主様」






大好きな主様と、


大好きな執事のお話。



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