夢設定小説
夢小説設定
この章の夢小説設定ここに主様のお名前をお入れください。
執事が主様のことを名前で呼んでくれるかもしれません。
(記入がない場合初期設定の「かうり」になります(管理人))
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とある日ー
「本日はお越しいただきありがとうございます。美しい貴婦人」
「あら、悪魔の割には上品に言葉を使うのね」
「お美しいレディ、一曲いかがですか?」
「えっ、わたくしですか?…ふふ、喜んで」
少し離れたところにいるナックとルカスの様子を見ながらシャンパングラスに注がれた水を飲む。
貴族のパーティの最中なのだがこういった場にはなかなか慣れない。
と、いうのも執事のみんなが好奇の視線を浴びながらも笑顔で貴族たちの相手をしている姿を見るのが辛いからだ。
女性陣は執事達の見た目が良いこともあっていい雰囲気で接してくれてはいるが、権力を持つ男貴族や、悪魔執事をよく思っていない貴族たちは粗探しをするように睨んでいる。
その視線はもちろん主である私にも向けられる。
「主様、気分が優れませんか?」
『え、あ、フェネス……ううん…大丈夫』
「…少し、夜風でもあたりに行きましょう。貴族への対応は他の執事がしてくれますし」
『…ありがとう、フェネス』
私のそばについてくれていたフェネスの陰に隠れていたのを見たのか、フェネスが私を気遣って会場の外につれだしてくれた。
会場になっている貴族の屋敷の外にはデビルスパレスの中庭の2倍はありそうな広さの中庭がある。
その中庭もアモンが絶賛するくらいに美しい。
「あまり奥に入ると迷っちゃいますからここあたりで少し休憩しましょう」
『うん、外の空気は美味しいね』
「俺もこういう場は苦手なのでこうして外に出て深呼吸をするんです」
自分の上着を脱いで私の肩にかける。
夏も過ぎた今、夜は少し肌寒い。
『寒くない?フェネス』
「俺は体温高いのでこれくらい大丈夫ですよ」
クスッと笑うフェネスの好意に甘えて上着をきゅっと握った。
中庭を見ると少し先に噴水が見えたので見に行ってみることにした。
「あ、主様…」
「あら、悪魔執事さん、中庭で休憩ですの?」
「…っう、美しい貴婦人も…夜風に当たりに?」
「少しワインで酔ってしまってね…」
私が噴水を見ようと歩き出したのと同時にフェネスが中庭に出てきた女性貴族に見つかった。
『ふぅ…パーティってもっと楽しいものだと思ってたのになぁ…』
噴水の淵に腰かけて空を見上げる。
屋敷の光があっても見える星空に少しだけ憂鬱な気持ちが晴れる。
『…っあ、やばフェネスがいない』
ぼうっとしてると、声をかけてくれる相手がいないことに気づく。
『奥に入ってないし帰り道覚えてるから迷子にはならないけど…』
来た道を戻る。
「貴婦人…足は大丈夫ですか?」
「ええ、もう大丈夫そう…」
話し声がする方を見る。
すると
「…っ」
『…な』
椅子に腰かける女性貴族とその傍らに傅くフェネス。
そのフェネスの首元にするりと腕を回した女性貴族。
私から見える角度ではフェネスの後姿しか見えないが…。もしかして…
『…』
その場に居づらくなった私はパーティ会場の方へと立ち去った。
「主様!!!」
会場に入った私はそのまま廊下を進み、休憩室の方へと向かっていた。
すると、後ろから呼び止められる。
腕が掴まれた。
「はぁ…っはぁ…っ」
『…さっきの人は?』
振り返りもせずに口を動かす。
「…え?」
『置いてきたの?』
「…俺は、主様と一緒に居ます」
腕を掴んだまま私の前へと回り込んだフェネスがしゃがんで私の顔を覗き込んだ。
唇を噛みしめて涙を流すまいとしている私の口元に指を添えて小さく首を横に振った。
「傷になってしまいます…」
『な、なんで…貴族の人と…』
「…主様が噴水の方に行かれた時に呼び止められてしまって…」
『ち、違う…』
「…え?」
『キスしてたじゃない!』
思わず大きい声が出て慌てて口をふさぐ。
バッと後ずさってフェネスから離れる。
「ご、誤解です主様」
『私…見たもん……』
「主様からは、そう見えてしまったのかもしれませんが…。俺は、ちゃんと拒否しました」
『…っ』
「俺なんかが…こんなことを言ってはダメかもしれませんが……俺がしたいと思う女性は目の前にいる主様だけです」
『……』
ぶわっと顔が赤くなる。
「…誤解は、解けましたか?」
『ほ、本当……?』
「本当です」
「本当に、してないの…?」
「はい、しておりません」
目を細めて子供をあやすように優しい口調でそういうフェネスに私はよろよろと一歩ずつフェネスに近づく。
手を伸ばすフェネスの手に自分の手を重ねてどちらからともなく唇を重ねる。
身長差のある私達。フェネスが少しかがんで私が背伸びをする。周りから見たら不格好な私達でもそれでも幸せだった。
「…執事失格ですかね」
『浮気したら失格にするんだから』
「あはは!なら心配しなくていいですね」
『…っも、もう…』
「だって俺、かうり様が思っているよりもかうり様が好きですから」
『名前…っ』
「今だけはご無礼をお許してください、俺今すごい幸せなんです」
そう言って子供のように笑う彼に、私はもう一度口づけをした。
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