夢設定小説
夢小説設定
この章の夢小説設定ここに主様のお名前をお入れください。
執事が主様のことを名前で呼んでくれるかもしれません。
(記入がない場合初期設定の「かうり」になります(管理人))
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※このお話はひとつ前のハウレス(上)の続きです。
そしてまた月日が流れた。
この日常を噛みしめながらハウレスと共に時間を共有した。
徐々に私と過ごすことにも慣れてきたハウレスは私と目を合わせて話してくれるようになり、会話もスムーズにできるようになった。
「主様、お帰りのところ申し訳ありませんが天使が現れました」
『…っ』
私はビクッと身体を震わせた。
そう、この時期だ。この時期の天使の出現にハウレスは1度目の最期を迎えた。
警報時は小規模の天使の出現だと思っていた。だから屋敷にいたハウレスとバスティンと私の3人で天使の元へと向かった。
だが、街を襲っていた天使の数は予想よりも倍以上の数だった。
ハウレスは咄嗟の判断でバスティンを屋敷へ向かわせ他の執事を呼ばせた。そして私を守りながらハウレスは天使を狩り始めた。
何もできない自分がもどかしかった。せめて彼の見えない場所の目になろうと必死に天使の行動を見ていた。
『ハウレス!右側から攻撃がくる!』
「…っ」
私の言葉にハウレスが瞬発的に剣を振った。
ほっと安心をして別の方向を見た。その刹那。
「…っガハッ」
『ハウレス?!』
ハウレスが目の前で膝をついてうずくまった。
脇腹を抑えている。そこからは真っ赤な血液が地面に零れて広がっている。
驚いた私は一瞬後ずさった。
「…あるじさま…!お逃げください!!いますぐに!!!!建物の中に…!にげ、てください…!」
剣を支えに立ち上がったハウレスは苦しそうに呻きながら私にそう言った。
天使は容赦なくハウレスに突進してくる。
ハウレスは先程とは違った鈍い動きで天使を斬る。そのたびにハウレスのわき腹から血はあふれ出し、魔導服は真っ赤に染まっていく。
『は、ハウレスも…逃げよう…!』
私は震える声でハウレスにそう言った。
「俺もすぐ……ぅぐっ…すぐに行きます!だから主様…!早く、お逃げください!」
私は、私は走った。ハウレスを置いて。
涙で視界が滲みながらもハウレスを信じて建物の中で隠れて目を閉じて耳を塞いだ。
どれほどの時間が流れたかわからない。ハウレスがなかなか来ないことに不安を覚えながらおそるおそる外へ出ると天使の姿はなかった。
『は、はうれす……!ハウレス…!』
記憶を頼りにハウレスの元へ走る。足がもつれながら先程の場所にたどり着くと。
見慣れた魔導服がそこにあった。
『ハウレス?!ハウレス!!!!!』
そこからは思い出したくなかった。
血をたくさん流したからか冷たくなったハウレスの身体。
消えかけの炎かのようなか細い呼吸。
脇腹だけではなく頭も全身も傷や血だらけで、青い魔導服が真っ赤に染まっていた。
「さま…?…る…様!………主様!」
『…っあ。ご、ごめん…』
「天使狩りは危険ですので…やはり怖いですよね…」
『あ……』
不安そうに顔を覗き込むハウレス。
私の顔色がそんなにも悪かっただろうか。
過去のことを想いだしたせいで気分は優れない。けれどこんな話信じられないだろう。
『ううん、それが私の使命だから。行こう』
「主様……」
大丈夫。前回もここは乗り越えられたんだから…。
『そうだ、今から誰が天使狩りに行くの?!』
「俺とバスティンです。今屋敷にいる執事が限られているので少数であれば俺たちで大丈夫です」
『…もしかしたら天使が多いかもしれないから他に連れていけそうな執事はいる?』
バスティンを屋敷に戻らせたのならきっとほかに戦える執事がいたはず。その執事達をあらかじめ連れて行けばきっと今回もハウレスは死なない。
そう思ってハウレスに問いかける。
「今はラムリとフルーレ、ラト、アモン、フェネスがいます。」
『……アモンとフェネスは連れていけそう?』
「呼べばついてくるとは思いますが…俺たちでは心もとないのでしょうか?」
『ち、違うよ!天使は急に数が増えることもあるでしょう?ふたりが強いのはわかるけど私をかばいながらだと体力を余計に消耗しちゃうから…』
「…わかりました。主様がそうおっしゃるのでしたらアモンとフェネスも呼びましょう」
これできっとハウレスもバスティンも無事に天使を倒してくれるはず…。
少なからず前のようにはならないと思う…。
「バスティン!そっちは頼んだぞ!」
「わかった」
「ひぇー…やっぱすごいっすねぇ」
「俺たちもしっかり主様をお守りしよう」
街に来た私たちは住人を避難させながら天使狩りを始めた。
私が依然見た光景と一緒だった。かなりの数の天使が空から降ってくる。
アモンとフェネスが武器を持って私の近くで守ってくれている。
だが私はただただハウレスが怪我をしないかが心配でずっとハウレスの方を見ていた。
「主様ってたまにすっごい顔でハウレスさんのこと見てるっすよねぇ」
「そうだね、何かふたりにあったわけじゃないと良いけど…」
「俺もあまり主様と話したことはないっすけど、気さくで話しやすいけどたまに妙に焦って追い詰められてるような感じなんすよね、主様」
「……うん、なんかわかる気がする」
私の方を見ながらふたりは話している。ハウレスの方に集中していた私の耳には入らなかった。
「…はぁあ!!」
「…遅い」
ハウレスとバスティンがどんどん天使をなぎ倒していく。
「よいせ…っとっす」
「アモンっそっちに行ったよ」
私を守ってくれているふたりも上手く連携をしながら天使を狩る。
そうして今日も無事に天使狩りは終わった。
「ふぅ…主様、お怪我はありませんか?」
『うん、ありがとうフェネス、アモン』
「久しぶりに戦ったっすけどやっぱしんどいっすね…ヘトヘトっす…」
周りに天使がいなくなったことを確認してフェネスとアモンが私に駆け寄ってきた。
そのあとをバスティンとハウレスもついてきた。
「主様!」
ハウレスが私を呼ぶ。その声に反応をして私は顔を上げた。
「お怪我はありませんか?今回も天使狩りについてきてくださってありがとうございました。おかげで最低限の被害で済みました」
『んーん…私は何もできてないよ』
ハウレスの無事な姿を確認して心の底からほっと安心できた。
私はハウレスを守れた。
「天使の数が予想よりも多かったな。これは一度ベリアンさんたちに報告することにする。フェネス、お前もついてきてくれるか?」
「うん、いいよ。ベリアンさんはナックとルカスさんと多分夕食までには帰ってくるはずだよ」
「バスティンもお疲れ様っす」
「……当然のことをしただけだ」
馬車に乗って屋敷に戻る途中、執事達が各々話しているのをぼうっと眺めた。
次にハウレスが死んでしまうのは執事達全員で行ったという遠征。
その時期は私の現実世界の繁忙期と重なった。
そのせいで私も長期間屋敷を空けてしまい、その間になんらかのトラブルが起きてハウレスが悪魔の力に飲み込まれた。
これはバスティンにもあったことだ。
私が、もしその場に居合わせてもまた悪魔の力を抑えることができるのだろうか。
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