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執事vs執事








「主様、少しお時間宜しいでしょうか?」


『ん、ナック。どうしたの?』


「実は最近貴族たちが催し物をすると言う話題が出ており、そこに私たち悪魔執事も呼ばれているんです」


『うわぁ…貴族ってグロバナー家だけじゃなくて?』


「…規模はまだわからないんですよね…困ったものです」



ナックの困った表情に私も思わず眉間にしわを寄せる。
そんな私の表情に気づいたナックが私の眉間に指をあてる。



「主様、お美しいお顔にしわを寄せてはいけませんよ」


『え、ごめん。酷い顔してた?』


「ふふっ。主様の開花した花のような美しさは崩れてはいませんが、主様にはいつも穏やかなお顔でいてほしいのです」


『本当、べた褒めだなあ』



ふふっとお互い微笑んで改めてふたりでナックのノートに書かれたメモ書きを見て話題を戻す。



「とりあえずは参加するという形になりますが万が一を考えて主様はお屋敷で地下にいる執事達と待機をしてもらおうと思います」


『うん、わかった。多分…戦闘になるようなことはない、よね?』


「天使が現れるかはわかりかねますが、貴族たちの手前手荒なことはしないと思います」


『そっか、それならいいんだけど…』


「大事な主様を危険な貴族たちに近づけたくもないですし、天使が出たとしても人数がおりますので大丈夫だと思います」



「おいこらナック。主様に近すぎだと思うんですけど~?」



突如入った第三者の声に私は振り返る。隣にいるナックは振り返りもせずに重いため息を吐いている。



「ラムリ、指示した掃除は終わらせたんですか?」


「掃除してたらナックが不躾に主様に近づいてるのが見えたんでね」


「主様に重要なお話をしていたところです。ラムリは何をしにここに来たんですか」



お互いに声を荒げるのは抑えているが表情に怒りがにじみ出ている。


「ぶっ殺すよナック」


「その短気さと言葉遣い、直したらどうです?主様もさすがに呆れてしまいますよ?」


「ナックさえいなくなれば全部解決するんですけどぉ?」



とうとう武器まで出し始めるラムリ達にさすがにわー!っと割って入る。
私の介入にさすがに2人とも動きを止める。




「主様、危ないから下がっててください!ナックは僕が責任をもって消しますから!」


「ラムリから責任なんて言葉が出るとは……。てっきり知らないんだと思っておりましたが」


「はぁ?なにそれ、まさか僕のことバカにしてる?ナックの分際で?」


「そう聞こえるのは自覚があるということでは?」


「……まじでうざい。殺す」


『わー--!!!もう!!!ふたりともダメ!!!!今すぐやめないなら1か月私に接近禁止命令出してもらうから!!!!!』



「「?!」」


『私は本気だからね?!』


「…あ、あるじさま…」



ラムリがたじたじしながら私に近寄る。珍しく私は本気でおこっているからさすがに危機を感じたらしい。



「主様…お恥ずかし姿を見せてしまい申し訳ありませんでした。ラムリも私も反省を致しますので…」



ナックも私の顔色を窺うように上目遣いに話す。
本当にこのふたりには困ったものだ。



「ナックはもっと反省すべき」


「ラムリ、黙りなさい」



ラムリの言葉を発端にまた睨みあうふたり。



『もー---!!ふたりとも出てって!反省したのがわかるまで接近禁止です!!!!!』




私の声が屋敷に響いた。

そのあと毎日ふたりが謝りに来るのだがまた喧嘩を繰り返していたのであった。




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