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ルカスさん








『……ルカス!』



「おや、主様。こんにちは」



屋敷へ来た私はあることをすべくフルーレの元へと行き、ある服を作ってもらった。
試行錯誤しながらフルーレは困ったようにしていたが私はその要望を押し通しその服を身に纏った。



「今日は随分と変わった衣装を着られているんですね」


『ど、どう?』



フルーレに作ってもらった服は…。
俗に言う「童○をころすセーター」なる大人っぽい服。
胸元と肩と腰が無駄に開いていて、手が隠れるように長い。
いつもはこんな服着ないがルカスに振り向いてほしくてフルーレに頼み込んだ。
もちろんこっちの世界ではこんな服ないので伝えるのに苦労をした。



「んー…私の好みはいつもの主様、かな?♪」


『えぇ…?!絶対嘘!そんなの嘘!』


顎に指を当てながらそう言うルカスに私は思わず反論してしまう。
ルカスはきっとこういう大人っぽい女性が好みなんだと思っていたから。貴族の女性たちも皆着飾りおしとやかに話していて…ルカスもそれに楽しそうにお酒を飲みながら話している。
だからこんな服にも挑戦したのだけれど…



「主様が何を考えていらっしゃるかはだいたい予想がつきますが……そうだ。ひとつだけお教えしましょう」


『な、なに?』



ふふ、と楽しそうに目を細めて笑うルカスにずいっと顔を近づけて次の言葉を待つ。
ルカスの視線が一瞬私の顔より下に向いたかと思うとすぐに顔ごと反らした。
いつものルカスならしない行動なのだが、私は次のルカスの言葉が気になりそれに気づかなかった。



「……主様のお肌は誰にも見てほしくないですね」


『え…?』


「見るとするなら……私とふたりきりの時だけ、とか…♪」



『えぇ…?』


イマイチぴんと来ないが、うーんと考える私にルカスは自分の上着を脱いで私の肩にかけた。
少し冷えた私の身体がルカスの体温を感じる。
ルカスはそのまま顔を私の耳元に近づけた。



「私、これでも嫉妬深いんですよ…?♪他の執事の視界に入る前に脱がしてしまいたいくらいに…」


『……っ』



ルカスの吐息混じりのそんな声と言葉にボンッと私の顔が赤くなる。
反射的に身体を離して耳を抑える。



「主様はいつもの主様でいてね。他の執事の前では」



そう言って不敵に笑うルカス。
彼の上着をぎゅっと握ってその場を去った。恥ずかしくて嬉しくてぐちゃぐちゃで、何がなんだかわからない。
その場に残されたルカスは私の背中を見送ってから片手で顔を覆った。




「はぁー……あの服装はさすがに反則…」



割とルカスの好みに刺さったのでした。
それを知るのはいつの話か…。




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