ハウレスくん
それはとある日の出来事です。
「おはようございます、主様。今日も素敵な1日にしましょう」
『おはよう、ハウレス』
いつも通りに専属のハウレスが朝の挨拶をしてくれていい朝を迎える。
のだが。
(やばいな………毎朝思うことだが主様が可愛すぎる…寝起きの少しぼさっとした髪の毛なんか無防備さが出てて更に可愛さを増している……朝の主様の姿は俺だけの秘密にしよう…)
『え?ハウレス?』
「はい。主様。何かございますか?」
『えっと……今何か言った?』
「…?いえ、私はカーテンを開けていただけですが…」
(ま、まさか俺…無意識に声に出していただろうか…主様が可愛すぎるなんてきっと主様に引かれてしまう…声に出ていたとしても誤魔化すぞ…!)
なぜか私はハウレスの心の声が聞こえるようになりました。
そしてハウレスは心の中では私のことベタ惚れだったことも発覚しました。
(主様を撫でてみたいな……どんな反応をするのだろうか…そしてどんな触り心地なのだろうか…シャンプーの香りがするのだろうか…)
待ってハウレス。私が持たない…!!!!!!
「主様、本日はどう過ごされますか?」
『え?!あ…きょ、今日は街へ行こうかな…はは。』
「街にですか?」
(主様が…また外行き用の私服を着られるということか…どんなお姿だろうか…気になる…俺もスケジュールを調節してお供させてもらおう)
「主様、俺も…」
『きょ、今日はフルーレが生地を買いにいくはずだから一緒に行こうと思うんだ!!はは…』
やばい。ハウレスの心の中が砂糖をとかしたかのように甘すぎる。糖分過多でしぬ。
「そ、そうですか…今日は俺も予定が空いているので一緒に行きたかったです…」
(断られてしまった…どうしよう…残念だ…)
ぃゃ、言葉でも心の中でもしょげないでよ?!え、断りづらいじゃん?!
『そ、そうなんだ、じゃあフルーレの荷物持ちになるかもしれないけど一緒に行く?』
「本当ですか!ありがとうございます!」
(よし、こうなったらフェネスとアモンに仕事を振り分けよう。あのふたりなら安心して任せられるな)
いや仕事押し付けないで?!ハウレスらしくないな?!今日どうした?!
「主様、ではさっそくフルーレ呼んできますね。準備しておられる間に俺も仕事を片付けてまいります」
(やった…!主様のお姿を間近で見られるだなんて今日は良い日だな。フルーレにこの間街で買ったけど主様に渡せていない髪留めを渡そうか…主様が気に入ってくれたらいいんだが…)
『…?』
髪留めなんかいつの間に買ってたんだろう。
ハウレスが一生懸命選んでくれたのかな。
なんかサプライズを先に聞いちゃったけど嬉しいな。
ハウレスが部屋を出てって程なくしてフルーレが部屋に来た。
私を着飾れるからと張り切っている。
「主様、今日はこんな髪飾りはどうでしょうか?」
『あ…』
フルーレの見せてくれた髪留めは今までフルーレが付けてくれたものとは雰囲気がまるで違う可愛らしいデザインの犬のピンだった。
『な、なんかいつもと雰囲気違うね?』
「さっき急にハウレスさんがこれを主様にって渡されまして…主様も子供じゃないんだからって思いますよね」
『ふふ…良いと思う。これ、付ける』
「えぇ、本当ですか?うーん、それじゃあ今日の服は清楚系というより可愛い寄りにしましょうか」
フルーレが服を厳選して持ってくる。
それを身に纏ってからピンを前髪に付けてもらった。
鏡を見る。こんなデザインのピンなんていつぶりだろうか。
街ー
「主様、今日は俺の用事に連れてきてしまってすみません」
『いつも服を作ってもらってるお礼だから気にしないで』
「………」
刺さる刺さる。ハウレスのは視線で穴が開きそうなくらいに。
馬車に乗ってからずっとこれだ。目が合うとにっこり微笑んでくれるけど…。
(おお、主様が髪留めを付けてくださっている………!思っていた以上に似合ってるな…主様と横に並ぶ俺は大丈夫だろうか…変なところはないだろうか…それにしても主様は何をしてもきれいで可愛らしい…なんでこうも可愛らしいお方が主様になってしまったんだ神よ…!)
もはやキャラ変わっちゃってるよハウレス…涼しい顔して心の中でこんなにも溺愛してくれてるなんて夢にも思わなかったよ…
『ハウレスは今日もかっこいいね』
「そ、そうですか…?っふ主様に褒められたらこなにも嬉しいものなんですね」
(っく…不意打ちで褒められて素直にお礼を言いそびれてしまった…主様は不快に思われてないだろうか…)
『……ふふ』
「主様?」
なんかもう面白くなってきちゃった。
ハウレスって案外こういうところもあるんだな
『んーん!いこう!』
「わっ!主様!危ないです!」
ふたりの手を引いて走り出す。
大好きな執事の新たな一面が見れて嬉しいしハウレスもこんなに好きでいてくれてもっともっと嬉しい!
『って夢を見たんだ』
「な、な…なんでそれを俺に…?」
『いやおもしろかったなぁって』
夢の話をしたら目の前に居るハウレスは顔を真っ赤にしている。
『あはは、実は現実でもそうだったり?』
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「…っ」
『え?』
「わ、悪いでしょうか…やはり…」
まさかの正夢で顔を真っ赤にするふたりでした。
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