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第六章








身体をゆすられる感覚に意識が徐々に戻ってくる。
ゆっくりと目を開くと目の前に広がる木々が小刻みに揺れている。あ、私が揺すられてるからか。



「リズ様?お目覚めですか?」


『あ…フローラ…』


「はい。私です。どこにおられるのかと探しました」


『ふあああ、ゆっくり寝すぎたのね』


「もうお昼ですよ。先生たちもエリザ様や私にどうしたのかと聞いてくるほどです」


『それはそれは珍しいこともあるのねぇ…いつもは第三王女だからと王族のような扱いなどしてこないのに』


「…あの張り紙が良い方にも悪い方にも働いているのでしょう」


『んんん…!さすがに変な寝方をすると身体が痛いわ』


「医務室に行かれますか?付き添います」


『今更言ってもあれだし、今日はこのまま帰ろうかな』


「え…?!でもそれでは…」



私の言葉にフローラがあからさまに動揺をする。
その様子をみて私は少しだけ口角をあげた。



『私、取引ができるほど頭は良くないのだけれど…相手が良し悪しの考えをしているかはなんとなくでわかるものなのよ』


「そ、それって…」


『張り紙をはったのはあなたでしょう?フローラ』


「…っち、違うますリズ様…!」


『否定よりも、それを証明する言葉が欲しいかな』


「っ。わ、私は…」


『このままだと、王族を補佐する伯爵家がひとつ没落するかもしれないわ』


「わ、わかりました…お話いたします」


『ちなみに…その話は訪問するときに話すものとは違うの?』


「あ、はい…今日のことは唐突なことだったので…」


『唐突にしてはえらく小道具が揃ってることで』



私が少しずつ追い詰めるとフローラはどんどん顔を青ざめていく。もともとこういうことをするような子ではないのは一緒に過ごしていてわかっている。
それなのに行動に移したことには理由があるはず。今はその釈明を待つしかない。
言葉に棘を持たせるのは私に許す意思がないことを見せつけるため。




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