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第五章







『フローラ、今日はもうエリザの方へ行って良いよ。あとの勉強は愛する執事様から教えてもらうことにするから』


「わかりました。テスト、頑張ってください」



私の言葉に頷いたフローラが少し意地悪に笑いながらそう言った。
頬をかきながら私も苦笑いをして学園から出たが、そのあとにエリザと何かあったのか。
考えてもわからない。フローラと会える日を待つことにしよう。
手紙を書き終えて紋章印で封をした。身体を伸ばして一息つくと程よい疲れからか眠気が襲ってきた。



















『ん…む…』



眠気に身を委ねてからどれくらい時間が経っただろうか。何か違和感を感じて意識が戻ってきた。
口の中に何かが動いている。それだけぼんやりする意識の中でわかった。
目を開ける。



『…ふ、は』



最愛の人の大好きな瞳が見えた。彼のその瞳の中に自分の瞳も見えた。
少しして覚醒した頭で今の状況を理解できた。
今、私はティフォンにキスされている。
私の口からだらしなくよだれをたらしながら私の口に彼の舌が入って私の舌と絡んでいる。
手をティフォンの肩に当てて少し力を込めて押すと、ティフォンが私の手を握ってもっと唇を押し付けてくる。



『ら…め、ひ、ふぉん…』


「…っふ、お嬢様…」



ティフォンの唇が離れてようやく解放された私は荒れる呼吸を整える。身体を離したティフォンは胸ポケットからハンカチを取り出して私の口元を拭う。



『な、なにして…』


「居眠りしてたお嬢様にお仕置きです」


『…なっそれで…き、キスて……』


「さて、紅茶をお持ちしました」





いつもと変わらぬ笑顔でカップに紅茶を注いでいるティフォン。
いまだにティフォンの行動の意図がわからない私は茫然とその様子を見ながら先程のことを想いだした。
ティフォンとのキス、そして絡められる舌。程よい快感…。
ぼっと顔から火が噴く。
確かにティフォンとキスしたいと思っていた時も人生の大半あるけれど……。
それがこんな形で実現されて自分はどうしたらいいのかわからない。一番わからないのはティフォンの私に対する気持ち。



「どうぞ、お嬢様」


『あ、ありがとう…』


「私はまた事務作業に戻ります。すぐに戻りますのでそしたらお嬢様の昼食に致しましょう」


『わかった…』




悩みの種は尽きないね…。
自分の唇に触れながら悶絶する。







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