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第四章







『それで…鉱物に心当たりはあるの?』


「そうですね…私もまだ現地を実際に見たわけでもありませんし、あそこの発掘を進んで引き受けたい人も数少ないでしょう」


『…大丈夫?』


「はい。信頼できる人たちに頼んでちゃんと護衛も雇うつもりです。神殿にも頼んで領地の浄化もお願いする予定です」


『そ、そんな大掛かりにして大丈夫なの?本当に』


「…正直に言えば大丈夫ではありません。そこでお嬢様にお願いしたいことがございます」


『…私にできることなの?』


「はい。お嬢様にしかできません」


『…わかった。教えて』


「…夜会に出てほしいのです」


『…っそんな、私…!』


「はい、お嬢様はまだ公の場にでたことはありません。デビュタントもまだですし…ですが、世間は第三王女という人物がどのような人なのか興味がおありのはずです」


『人を見世物かのように…!』


「国王陛下様の許可が必要ですが、…王太子様の方は喜んで夜会に出したがるはずです。そしてその夜会でお嬢様に領地を管理する人物であることを表明し、第三王女としての立場を確立するのです」


『…わ、私が…?』


「領地名は言わなくていいでしょう。ただ第三王女が領地を与えられてると知れば貴族らは興味を持ちどこか探るはずです。我々の目的は興味を持たせること。そうすればサーダルーンであろうとその価値を測り始め、その価値をわかるものはお嬢様を支持するはずです」


『…ちなみに国王陛下はそのサーダルーンの価値は知らないの?』


「いいえ。ご存じのはずです。わかっていてその価値をお嬢様に扱えるかを試しておられるのだと思います。なんならそれで利益を得られたら一石二鳥でしょうから」


『…手で転がされなければ自由も与えられないのね』


「ご気分悪くされましたか?」


『…いいえ。最高にハッピーな気分ね』



言葉とは逆にため息をつきながらティフォンの淹れた紅茶を一口飲む。
ティフォンの言いたいことはわかったが、自分には荷が重い。ティフォンにマナー指導をされてきたと言えど公の場、ましてや国王陛下主催の夜会に出るなど不安しかない。



『ティフォンは夜会には…』


「…こればかりは私にもどうしようもできません。エスコートは皇太子様がなさるでしょう…」


『さいっあくな茶番ね』


「いやでしたら他に策を練りますので、ご安心ください」


『…いいえ。私にもできることがあるなら頑張る…それに私には第三王女でも遠慮なく蹴り飛ばしてくれる友もいるしね』


「そうですね。ふふ、心強いです」


『そうと決まれば国王陛下に謁見の許可をお願いしなくちゃね』


「かしこまりました」




私たちの戦いがこうして幕を開けた。




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