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第二章





『こ、交換条件って……何言ってんの?!無理に決まってるじゃない!』


「お嬢様、それはお嬢様がそう思い込んでいるだけです。国王陛下もする価値があると思えば考えてくださるはずです」


『第一、何を言うつもりなのよ…』


「…お嬢様が、街の運営をするのです」


『…はぁ?経営学なんて学んだことないわよ』



無茶苦茶なティフォンの提案に思わず変な声が出てしまう。
それでもティフォンは真剣にこちらを見つめて話し続ける。



「お嬢様が国の政治に関われるような人材だと認めてもらえば他国へ嫁ぐこともないでしょう。反王族派の勢力を増すことを恐れ嫁ぎ先も安易には決められません。第二王女様のようにもっと大切に扱ってくださる貴族様のもとへ行けるはずです」


『…それは、そうかもしれないけど……私にはできないわ…』


「ふふ、お嬢様、私もついております。私は一応必要になるであろう経済学も学んでおりますので二人で力を合わせればきっと乗り越えられます。お嬢様、ご決断を」


『…ティフォンも、一緒に居てくれる?』


「はい、私はお嬢様の味方であり執事です。どんなことがあろうとお嬢様のおそばにいます」



ティフォンが優しく微笑むと私の手をそっと自分の手で包んだ。
エリザであれば執事が主人の手を触るなど怒り狂っていただろうが、ティフォンと長い間一緒にいたこともあり彼のことが大好きな私には彼を怒る理由などない。
私も、少しだけ微笑む。



『しんじてるから』


「はい、お嬢様。陛下との謁見は3日後の正午。ご一緒にお食事することになりました」


『うげ……一緒に食事…ってことは王妃様と第一王女夫妻と王太子もいるのね……』


「王太子様はおそらく朝から出かけられているかと。第一王女様夫妻も今の時期は旅行に行かれているはずです」


『…そこを狙ったわけね』


「おそらくは」



大きくため息を吐いて頭を悩ます。
だが、この3日間は猶予と考えてもいい。その間にティフォンから必要最低限の経営学を学び、その知識を交換条件の場で使えるかもしれない。正直不安でしかないが、ティフォンとの未来と私の平穏な日常を奪い返すためにもここの分岐はかなり重要である。



『ティフォン、3日間は学園を休んで勉強漬けよ。必ず交換条件を認めさせなくちゃ』


「流石でございます、お嬢様」



こうして私の戦いが幕を開けた。
日中はもちろん夕ご飯の後もティフォンとの勉強会は行われた。




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