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大悪魔を召喚するはずだったのに!!












アルカードはぎゅっと抱き寄せると私の首元に吸い付いた。と同時に首筋を舐めた。
くすぐったい感じとどこか恥ずかしさが出てきたが、体中が痛くて大した反抗はできなかった。
ひとしきり舐めたアルカードは口を開いた。犬歯が輝き先程舐めた場所へと歯を突き立てた。



『…あっ…ぅ』



肉を突き破られる痛さが走る。全身の痛みとは比べ物にならないほどの痛さに意識がもっていかれそうなのをアルカードのマントを握りしめて耐える。犬歯が刺さった場所から私の血が流れ出て、その血をアルカードが飲む。
こんなにも血を流して大丈夫なのだろうか、と思いながら血を飲まれているのに謎に湧き出る高揚感に身を委ねる。



『…んん…』


ひとしきり血を飲み終えたアルカードが離れる。口元には私の血液が付いていた。それを火照った顔でぼーっと見つめていると、私の顔に手を当ててにっこり微笑みながら口元の血をぺろりと舐めた。
私も少しだけ頬を緩めてアルカードに抱きついた。




「契約完了ですよ、お嬢さん」




そう言ったアルカード。
いつの間にか私の全身の痛みは無くなっていて、視界に見えた私の身体から傷がなくなっていた。
不思議そうに腕や手を眺めている私をアルカードは軽々と抱き上げて地面を蹴った。
ふわっと重力に逆らう感覚に少し恐怖を抱いたが私を抱くアルカードの力強さに身体を任せているとどこか安心できた。




「人間なのに恐怖しないんですね」



『人間にもスリルが好きな人はいるわよ』



「お嬢さんはその部類とは思えないですがねぇ」



『これくらいなんてことないわ』




軽口を叩くアルカードの売り言葉に買い言葉を返す。
そんなやり取りも楽しそうにアルカードは笑い、どんどん上昇しては国を一望できるくらいにまで飛んでいた。




「ーーーー?」



『…?ん?なに?何か言った?』




目の前に広がる世界を眺めていると、不意にアルカードが喋っている気がしてアルカードの方を振り向く。
口を開いているのは分かるが声を発していないように口をパクパクしている。
またからかわれている、と思いアルカードから視線を離してまた景色を眺めていた。



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