大悪魔を召喚するはずだったのに!!
『はぁ……っ!はぁ……っっ!』
月明かりも差し込まない木々で覆われた森の獣道を走るのに向いていないヒールで全力で走る女の子。きらびやかなドレスはボロボロに引き裂け、ブロンドの金髪は砂埃でくすんでいる。
だが、そんなものは気にしていられず自分の足音とは違う足音が後ろからいくつも聞こえてくることに恐怖していた。
息が切れて、足が痛くて、恐怖心に押しつぶされそうで、現実から逃げ出したくて、涙を流して走り続ける。
『うぁ…?!』
とうとうヒールが草か根っこに引っかかって盛大に転ぶ。振り返って後ろを確認する。まだ追手は見えず、前を向き直し涙を拭ってヒールを脱ぎ捨ててまた走り出す。
走った先の目的地なんてない。ただただ今の状況を免れたいために走り続ける。
『はぁ…!はぁ…!』
なんでこんなことになったんだっけ…。
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