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君の名前をもう一度。




お母さん、お姉ちゃん。
先に旅立つ不幸をお許しください。

夢の中でお父さんに会いました。昔のように家族4人で食卓を囲んで笑いあってた日々。お父さんは変わらず笑顔で私の頭をなでてくれました。
でも、お父さんは私たちを置いていったことをひどく悲しみ自分が死んでしまったことを悔やんでいました。そして、ひとりになってしまって寂しそうでした。
私は、事故に遭った時お父さんもとに行くべきだったのかもしれません。
お父さんをこれ以上ひとりで寂しそうにさせるわけにはいきません。
お父さんの亡くなった後の記憶が無くなったってお父さんが現実にいるわけではありません。

私はお姉ちゃんとお母さんには幸せでいてほしいです。
私が死んじゃったらきっとまた悲しい思いをさせてしまうのはわかっています。でも、悲しまないでほしいというのは私のわがままかな。
お母さんのことをお姉ちゃんひとりに任せてしまうのは心苦しいですが、お母さんは昔のように明るい人に戻れると信じています。

お姉ちゃん、最後まで私に優しくしてくれてありがとう。
お姉ちゃんはいつまでも私の自慢のお姉ちゃんで世界で一番幸せになってほしい人です。大輝と幸せになるなんて今でも許せませんが、大輝の話をしているお姉ちゃんは今まで見たことがないくらいに柔らかくて幸せそうな笑顔を見せます。
私には作れないその笑顔を作れる大輝ならきっと一生お姉ちゃんを幸せにしてくれると思います。
記憶がなかったとは言え、お姉ちゃんを悲しませるようなことをしちゃって本当にごめんね。
天国からお父さんとお姉ちゃんの晴れ舞台を眺めてるのが楽しみです。

入院している間、私に接してくれた看護師さん達。
いつもありがとうございました。記憶が戻った今も覚えています。
毎日笑顔で挨拶してくれて私の話を聞いてくれて、一緒に笑ってくれて励ましてくれて、辛かった時もいつも看護師さんたちはそばにいてくれてうれしかったです。
ご迷惑をおかけしたときもありました。すみませんでした。
あの頃の私は無くなった記憶と当時の記憶が混じっていてすごく不安でした。
自分の頭の中なのに知らない自分の記憶があることが怖くて仕方がなかったです。
記憶の中のお姉ちゃんは辛そうに笑って、お母さんは泣きながら何かを叫んでいました。
お父さんが亡くなった記憶を忘れてはいけないっていう自分がどこかにいたのかもしれません。


大輝。
記憶がないときに、一番寄り添ってくれてたのがあんただったことが今でも信じられません。
学校の頃では見たことがないあんたの笑顔が思い出されてはなんだか変な気分です。
でも、お姉ちゃんではない他の女にそんな笑顔を見せるのはダメだと思う。お姉ちゃんを不幸にしたら枕元に立ってやるから覚悟しなさい。
って私が一番お姉ちゃんを不幸にしてるのかもしれないから人のことを言えないのかもしれません。
でも、なんとなく今となってはなんでお姉ちゃんが大輝のことを好きになったのかがわかる気がします。
学校では悪口ばっかり言ってごめん。大輝は、人を思いやれるいい奴だったんだと思う。
学校のみんなのお見舞い、ありがとう。ももや窓花にごめんって伝えといて。


学校のみんな、山ちゃんせんせー。
みんなと一緒に卒業ができなくてちょっと寂しいです。
でも3年間一緒に居てくれたももや窓花、2年生から一緒だったみんな、思い出をたくさん作れて幸せでした。もう十分すぎるくらい。
毎日学校が楽しかったのはみんなのおかげだし、大輝との喧嘩を毎回止めてくれて呆れて見捨てなかったみんなに改めてお礼を言います。本当にありがとうございました。
山ちゃんせんせーもいつも悩み相談や学業のこと、寄り添ってなんでも聞いてくれてダメなことはダメだと叱ってくれて本当にありがとうございました。
第二の母!って感じで本当に大好きでした。
担任が山ちゃんせんせーで本当に良かったです。大輝が浮気をしてたら速攻殴ってやってください。


伝えたい人、伝えたいことはたくさんたくさんあふれて止まないけど、
私は幸せでした。
不満や不安がなかったわけではありません。それを上書きするくらいたくさんの人から幸せをもらいました。
今度はそれをお父さんにも分け与えたいだけです。
正直、今すごく頭の中ぐちゃぐちゃで思ったことをそのまま文章にしています。
みんなにお墓の前とかで怒られちゃうのかな、って思いますが、ひとりひとりちゃんと聞くので許してください。


あと、なにが言いたかったっけな。
なんかいろいろ書きたかったはずだけど、うまく言葉がでてきません。
涙が溢れてちゃんと文字も見えません。
手紙を濡らさないようにするので必死です。
これから死んじゃうつもりだけど死ねなかったらどうしようかな。
でも、お父さんの元へ行きたいのは本当です。
お父さんの元へ行けるように、願いを込めて。


お母さん、お姉ちゃん。
お父さんの元へ行くことをお許しください。
お母さんとお姉ちゃんのことも大好きだけど、私はお父さんのことも大好きです。
天国でふたりの幸せを願っています。


梨子より。育ててくれてありがとう。産んでくれてありがとう。


さようなら。





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