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CITY HUNTER

ラピュタの道 *熊本

 梅雨晴れの中、風をきって走る。二人乗りしたバイクのエンジン音が、ヘルメットの中まで響く。
 横には世界最大級のカルデラ火山。中には燃え滾るマグマ。
 火口から、抑えきれない熱の煙だけが、獠の想いを隠すように、大空へと立ち上っていく。
 都会にはない自然の雄大さが、気分を開放的にさせる。
 腹部に回された、後ろに乗った香の手。背中に当たる、あの頃より成長したのが分かるサイズ感。
 触れたい。
 彼女の同意を得て、堂々と。
「もうスケにしかみれねーよ」
 確かにそう言った。けれど、ヘルメットを被った彼の表情は、後ろに乗った香には見えない。
「涼し~い!」
 疾走感と爽快感が心地いいようで、気持ち良さそうに声をあげる。
 バイクのヘルメットから出るような後ろ髪がないから、香の髪は靡かない。男と間違えられそうな、ボーイッシュな髪型だ。
 所々にカーブがあるので、振り落とされないように獠にしがみついている。
「これからおまえのこと、男としてみないって言ったらどうする?」
「えー?何ー?」
 益々身と顔を獠に寄せて、香が大声で聞き返す。バイクで走りながらだと、よく聞こえない。
 獠のズボンの股間部分が膨らんでくる。もっこりしてしまう。
「それでもずっと、そばにいてくれ」
 新緑が彩る澄んだ空気。
 のんびりと牧草を食べる牛達が、彼の告白を聞いていた。


「あったりまえでしょ」
「へ?」
 今度は獠が聞き返す番だった。
「ずっと前からそのつもりよ!」
 上等だ、とでもメンチを切りそうな勢いの声だった。
「パートナーだからな!」
 ギューっと力一杯、上半身で抱きついてくる。本気で舞い上がりそうだった。
 左足でチェンジペダルを上げ、シフトアップしてスピードを上げる。アクセルを捻る右手につい力が入ってしまう。エンジンが凄みをきかせて唸りだす。昂る想いに任せて、迫り来るカーブにハンドルをきった。
「たいしたスケだよ!」
 車体の角度を急激に変えても、香は振り落とされたりはしない。振り落とす気だってない。カーブを曲がった先は、真っ直ぐな道だった。
「アンタのスケだろ?」
 ヘルメットシールドを上げて笑う香は、バックミラー越しでも男前な女だった。




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PE公開後、Twitterでのご当地CHタグつけて書いたやつです。
一回くらい言って欲しい台詞詰め込んだのでスッキリです。
この後ミラー越しに投げキッスしあう二人のやりとり考えたけど、いや事故るわwって思ってやめましたw
免許取り立ての時、何故か市内から友達と原付で草千里まで行きました。観光バスに挟まれて死ぬかと思いながらwアホだw
ラピュタの道の雲海すごく綺麗なんです。
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