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KYO

 
「ダメだって。まだ片付けも終わってないし…」
 背後からゆやの体をすっぽり腕の中に収めた彼に、身を捩って抵抗の意思を見せる。
「……」
 返事の代わりに、ちぅと頸を吸われた。最近は纏めて結い上げているので、空気にも人の目にも触れる機会が多い。
「んっ」
 ゆやの口から、ふぅと鼻にかかったような甘いもの吐息が出る。
 それに気付いているのか、舌が頸を滑って今度は先程よりも少し強めに口付けられた。噛み付かれたような赤い痕が残る。
「狂! 待って……」
 訴えも虚しく、後頭部を掴まれ口付けられたゆやの声は、彼の口内へと吸い込まれた。
「…んっ……」
 後頭部の大きな手が頸へと降りてくる。口内を舌で犯されて息ができない。顔が熱って、もうこうなってくると、太刀打ち出来ないのが分かっている。……どちらもお互いに。
 
「あれ? 今日は髪下ろしてるんだね」
 茶屋の常連さんに声をかけられた。
 今日はいつもと違う、下ろした髪を背後で毛先だけ結うゆやにしては珍しい髪型をしている。
「ちょっと寒くなってきたから」
 あはは、とはにかみ笑いを浮かべると、酒瓶を持って横を通った放浪夫がククッと喉を鳴らした。
 心の中で、アンタのせいでしょ! と思いながら、思いっきり睨みつけてやる。
 
 いつもの髪型だと、見えてしまう。
 噛み付かれたみたいな赤い痕。
 本当は頸だけじゃない。
 髪と服の下に隠された、たくさんの愛された痕跡。
 
 
 
 
 
 
*****
メロメロのトロットロゆやぴょんを。笑
文章力なくて伝わらないかもだけど、最後の隠す為の髪型は、下の方で毛先だけ結う初期阿国さんみたいな結び方だと思って貰えれば…。笑

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