阪神国
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「おもしろいもんめっけ。」
風に乗った囁きと、爆発はどちらが早かっただろう。
正義くんの巧断が一瞬で爆ぜて消えた。
その爆発は巨大で、お城も半壊状態だ。
「案外つまんねーの。」
変わり果てた阪神城の屋根の上に深いフードの彼女がいた。
地上では倒れ伏している正義君の名を、小狼君が必死に呼んでいる。
その手には羽根はあったけれど、きっと小狼君はこんなことは望んでいなかった。
「おい!
てめぇなにした?」
黒ぽっぽが怒鳴る。
「なにって、内側からのエネルギーが大きすぎて制御できてないみたいだったから、爆発させてやったんじゃん。
跡形もないくらいに綺麗に無くなる様に、たっぷり魔力注入してやっただけーっ!」
にひひ、と笑う様子に、小狼君が立ち上がる。
「・・・あなたは、人を何だと思ってるんですかっ!」
彼の目は怒りに燃えている。
「じゃあきくけど、お前はなんだと思ってるんだよ。」
思いのほか冷たい声が降ってきた。
「羽根、取り返してぇんだろ?
何でもかんでもうまくはいかねぇぜ?
それ、すっげー力あるもん。
手に入れたら返したくなくなるって、普通。」
次の瞬間には彼女の姿は城の上にはない。
「こいつの命と、あの子の羽根と、どっち大事なんだよ。
羽根ねぇと、あの子、ずっと半分寝たままみたいなままだけど?」
声の先では、うつ伏せに倒れている正義君を、彼女が足で蹴りあげていた。
どさっ
正義君は仰向けに地面に落ちた。
「なにをッ!」
小狼君が彼女に蹴りを入れて、正義君から遠ざけた。
もちろん、当たったから逃げたのではなく、当たらないように逃げたのだけれど。
ごほっ・・・
しかし背後からしたむせ込む音に慌てて振り返り、身体を起こそうとする正義君の肩を支える。
「つまんねー。
かーえろっと。」
そんなぼやきを残して、彼女の姿は消えた。
結局、正義君も彼の巧断もどちらも無事だった。
思いたくは無いけれど、荒療治、というところだろうか。