偶像の国
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「ファイさん!?」
羽根を探しにいったらそこに羽はなく、竜巻がいた。
姫が竜巻の声を聞き、強い力によって動けなくなってしまったと教えてもらったので帰ってきたところ、煙が見えたので慌てて走ってきたというのに。
「お帰りー
お祝いの踊り、みんなも踊る?」
小さい人たちと火を囲んで、太鼓を鳴らしながら踊っている姿に力が抜けた。
「どうしてお祝いなんですか?」
姫の問いかけにファイさんはポケットからそっと何かを取り出した。
「ほら。」
その手にあったのは、なんと姫の羽根。
「この子たちが持ってたんだよ。」
「あれ?
こっちは、魔物は竜巻だったんですよ。」
おれが竜巻とのやりとりについて説明し、ファイさんが生贄を捧げろと言う話になった流れを説明してくれた。
聞けば納得の話であるが、こういう落ちになるとは思いもしなかった。
「姫。」
声をかけて羽根を返す。
こうしてまたひとつ、姫のかけらが戻ってきた。
「ありがとう、咲。」
少し離れた木の上にいる咲を見上げて声をかける。
ファイさんの話では、彼女が小さい人達の伝言ゲームに気づいてくれたと言うことだったから。
それに。
「怪我はもういいのか?」
竜巻に会いに行く道中、姫はずいぶん気にしていた。
おれも桜都国で遠目に見た傷だらけの姿に心配していなかったわけでもない。
確かに咲のことは理解できないことも多々ある。
それでも彼女が彼女なりに、おれ達を守ろうとしてくれていることを、少しずつ感じていた。
「てめぇと一緒にするんじゃねぇ!
一人ではなにもできねぇ屑!」
「おーい、そんなこと言わない。」
ファイさんが嗜める。
でも、咲の言うことは正しい。
おれは一人じゃ何もできない。
どこの国に行っても、黒鋼さんや、ファイさん、咲、それから今こうして腕の中で眠る姫にまで助けられてばかりだ。
「納得しやがった。
底無しのアホだな。」
「咲!」
今度はモコナが怒る。
おれは一人ではまだまだだ。
でもこうして幸いにも助けてくれる人達がいる。
「いや、咲の言う通りだ。
ありが」
突然の風に言葉を切り、姫を抱き締める。
体に何かが淡く触れる感覚に目を開ければ、色とりどりの花がおれ達に降り注いでいた。
「お礼かもしれないね。」
ファイさんの言葉に頷き、姫の髪に花を指す。
声なき者が礼をしたくて考えた結果が花吹雪だというならば尚更。
「そろそろ移動だね。」
光始めたモコナの側に行く。
同じく近づいてきた咲を見上げた。
「咲、助け」
「お人好しも大概にしろよ。」
冷たい視線と言葉が降ってきた。
凍てつくようなその空気。
何か言わなければと思いながら、移動し始めた 。