ジェイド国
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爆発があった辺りに行ったけれど何もない。
意図的に隠されたかのように何も。
「あっちの方も探してみるね。」
寒い中パタパタと走っていく後ろ姿を見て、小狼君がポツリと呟く。
「姫を見ていると、おれたちがあの人を誤解しているように見えてきます。
無害な人を、差別しているかのような・・・。」
「人は扱われ方によって性格を変えちまうからな。」
確かに彼女は、ああして人を傷つけるように振る舞わねばならないような、そんな扱われ方をしてきたのかもしれない。
常春の国でしてきた仕事について聞かれたときに彼女は自分のことを兵器といっていたから。
「向こうに古いお城がありました!」
サクラちゃんが走って戻ってきた。
妙に心配そうにしているのが気にかかる。
(本当に何かあったのかもしれない。)
不思議とあの二人は互いをわかりあっている節がある。
「行ってみましょう。」
小狼君がすぐに頷くと、サクラちゃんが安心したように笑った。
「もうすぐ暗くなる。
場所の確認までにして、中を見るのは明日だ。」
黒様の言葉に、サクラちゃんは渋々頷いた。
(どこにいるんだろう。)
部屋の窓からしんしんと降り積もる雪を眺めながら、いなくなった咲を思う。
(きっと食事もとってない。
服も部屋にいたときのブラウスのままで、ジャケットもコートも着ていない。)
心の中に冷えきったところがあるのに、その中にはまだ、周りに冷たくしきれないあたたかいところがある。
(だから独りで追いかけたんだ。)
雪が止んだ。
月が雲間から現れる。
雪で白く塗られた町が、銀色にきらきらと輝く。
(いったいどこに・・・)
視界にふと、金が映り、瞬く。
「金色の髪のお姫様!?」
昨夜もみた姿に、立ち上がる。
家々から子ども達も出てきて、姫の方へと歩いて行く。
(追いかけなくちゃ!)
壁にかけてあったコートを羽織るが、ここは2階。
咲のように窓から飛び降りる技術は持っていない。
部屋を見回す。
「そうだ!」
シーツを外して丸めてもち、窓のそばの木になんとかうつる。
シーツを幹に縛り付けて、それ伝ってしたに降りると、靴を通して、雪の冷たさが伝わってくる。
急に心細さが襲ってくる。
(咲・・・)
この中を独りで行った人を思い、走り出した。
ぼうっとした子ども達が吸い寄せられるかのように向かっていく。
(まるで操られているみたい・・・。)
「待って!」
昼間に見つけた古城の前の急流で、やっとこのことで追い付いたお姫様を引き留める。
『貴女はあの方のお仲間ね?』
「咲のこと?
知っているんですか?」
『ええ、私のせいで捕まってしまって。
あなたもダメです。
すぐに家に戻らないとあの男が・・・』
急流が流れを緩めた。
川の中に現れた飛び石を子ども達が渡り始める。
次の瞬間、ふっと体の力が抜けた。
思考がぼやけてゆく。
『だめ!
しっかりして!』
お姫様のその言葉を最後に、私は意識を手放してしまった。
『これだからバカは手におえねぇ。』
聞こえた声に振り返る。
静かな湖のような薄暗い世界は、よく知っている場所。
昔から何度も夢に出てくる場所。
そこにはあの人がいた。
「咲!
やっと見つけた!」
『馬鹿言え、まんまと捕まりやがって。
・・・人の事言えねぇか。』
ため息をつく咲。
「捕まってるの?」
『ああ。
厳重に地下牢だ。
お前は上の階だな。』
「上なのかな?」
私には全くわからない。
咲は何でもわかってしまうから不思議。
『とにかく、目を覚ましたら子どもを探せ。
その先に羽根があるはずだ。
城の子供部屋だ。』
「なぜそれを?」
『てめぇ自分のもんだろ!
羽根の在処ぐらいわからんのか?』
「ごめんなさい・・・。」
『ったく。
とにかく、あいつらもこっちに向かうだろう。
お前は羽根を守れ。
カイルにだけは渡すな。
こちらも何とかして向かう。』
「わかった。
頑張って。」
咲はようやく笑った。
『自分の事心配していろ、ウスノロ。』
意図的に隠されたかのように何も。
「あっちの方も探してみるね。」
寒い中パタパタと走っていく後ろ姿を見て、小狼君がポツリと呟く。
「姫を見ていると、おれたちがあの人を誤解しているように見えてきます。
無害な人を、差別しているかのような・・・。」
「人は扱われ方によって性格を変えちまうからな。」
確かに彼女は、ああして人を傷つけるように振る舞わねばならないような、そんな扱われ方をしてきたのかもしれない。
常春の国でしてきた仕事について聞かれたときに彼女は自分のことを兵器といっていたから。
「向こうに古いお城がありました!」
サクラちゃんが走って戻ってきた。
妙に心配そうにしているのが気にかかる。
(本当に何かあったのかもしれない。)
不思議とあの二人は互いをわかりあっている節がある。
「行ってみましょう。」
小狼君がすぐに頷くと、サクラちゃんが安心したように笑った。
「もうすぐ暗くなる。
場所の確認までにして、中を見るのは明日だ。」
黒様の言葉に、サクラちゃんは渋々頷いた。
(どこにいるんだろう。)
部屋の窓からしんしんと降り積もる雪を眺めながら、いなくなった咲を思う。
(きっと食事もとってない。
服も部屋にいたときのブラウスのままで、ジャケットもコートも着ていない。)
心の中に冷えきったところがあるのに、その中にはまだ、周りに冷たくしきれないあたたかいところがある。
(だから独りで追いかけたんだ。)
雪が止んだ。
月が雲間から現れる。
雪で白く塗られた町が、銀色にきらきらと輝く。
(いったいどこに・・・)
視界にふと、金が映り、瞬く。
「金色の髪のお姫様!?」
昨夜もみた姿に、立ち上がる。
家々から子ども達も出てきて、姫の方へと歩いて行く。
(追いかけなくちゃ!)
壁にかけてあったコートを羽織るが、ここは2階。
咲のように窓から飛び降りる技術は持っていない。
部屋を見回す。
「そうだ!」
シーツを外して丸めてもち、窓のそばの木になんとかうつる。
シーツを幹に縛り付けて、それ伝ってしたに降りると、靴を通して、雪の冷たさが伝わってくる。
急に心細さが襲ってくる。
(咲・・・)
この中を独りで行った人を思い、走り出した。
ぼうっとした子ども達が吸い寄せられるかのように向かっていく。
(まるで操られているみたい・・・。)
「待って!」
昼間に見つけた古城の前の急流で、やっとこのことで追い付いたお姫様を引き留める。
『貴女はあの方のお仲間ね?』
「咲のこと?
知っているんですか?」
『ええ、私のせいで捕まってしまって。
あなたもダメです。
すぐに家に戻らないとあの男が・・・』
急流が流れを緩めた。
川の中に現れた飛び石を子ども達が渡り始める。
次の瞬間、ふっと体の力が抜けた。
思考がぼやけてゆく。
『だめ!
しっかりして!』
お姫様のその言葉を最後に、私は意識を手放してしまった。
『これだからバカは手におえねぇ。』
聞こえた声に振り返る。
静かな湖のような薄暗い世界は、よく知っている場所。
昔から何度も夢に出てくる場所。
そこにはあの人がいた。
「咲!
やっと見つけた!」
『馬鹿言え、まんまと捕まりやがって。
・・・人の事言えねぇか。』
ため息をつく咲。
「捕まってるの?」
『ああ。
厳重に地下牢だ。
お前は上の階だな。』
「上なのかな?」
私には全くわからない。
咲は何でもわかってしまうから不思議。
『とにかく、目を覚ましたら子どもを探せ。
その先に羽根があるはずだ。
城の子供部屋だ。』
「なぜそれを?」
『てめぇ自分のもんだろ!
羽根の在処ぐらいわからんのか?』
「ごめんなさい・・・。」
『ったく。
とにかく、あいつらもこっちに向かうだろう。
お前は羽根を守れ。
カイルにだけは渡すな。
こちらも何とかして向かう。』
「わかった。
頑張って。」
咲はようやく笑った。
『自分の事心配していろ、ウスノロ。』