ジェイド国
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夜中だった。
強い魔力を感じて飛び起きる。
同時に遠くで爆発音がした。
黒りんと小狼くんも目を覚ましたようだ。
「何でしょうか。」
黒さまが窓を開けようとするが、びくともしない。
それもそのはず。
「術がかけられているねぇ。
きっとこの家中に。
外に出られそうにない。」
オレの言葉に二人は驚いたようだ。
「嵌められたか。」
「さて誰に?
・・・ちなみにこの家にかけられた術は、咲によるものではない。」
「とりあえず姫の部屋に行くぞ。」
黒りんの言葉にしたがって部屋を訪ねる。
「姫?」
ノックしても返事がない。
「入りますよ!」
部屋の中にはベットに寝ている姫とモコナ。
布団をかけられた二人は、何事もなかったかのように穏やかに眠っている。
隣には寝た形跡すらないもうひとつのベッド。
「いない・・・」
「おい白饅頭。」
黒たんの声でモコナが目を擦りながら起き上がった。
「あいつはどこだ?」
「モコナが寝に来たときにはいなかったよ。
サクラはぐっすり寝ていて起きないから、たぶん羽の力が足りなくて眠っちゃったんだと思う。
どうしたの?」
キョトンとした顔に黒単は溜め息を漏らした。
「お前そんだけ長い耳してるのにさっきの爆発で目が覚めなかったのかよ。」
「これはモコナのかわいさだもん!」
二人のコントのような会話は聞こえないような難しい顔をして、小狼くんは何かを考えている。
「ファイさん、さっきの爆発はもしかして・・・」
「いや、咲じゃない・・・」
言おうかどうしようか、迷うオレの顔に気づいたらしい黒たんの視線を受け、オレは口を開く。
「訓練すると魔力の気配で、どんな系統の魔法を使ったかわかるようになるんだ。
さっきの爆発は攻撃魔法で、咲以外の魔術師が使ったもの。
でも同時に使われた防御魔法は、咲が使ったものだ。」
単純に考えるなら、咲が何者かに襲われたことになる。
「下に降りてみましょう。
カイル先生が何か知っているかもしれません。」
また村から子どもが消えたのだと言う。
朝から騒がしい村人たちは、俺達を疑ってきた。
信用できない部外者だ、当然である。
「昨日あと2人いただろう!
少女はどこにいる?」
「寒いのでまだ部屋に・・・」
「ではあの刺青の奴はどこだ!
昨夜の爆発はあいつが犯人じゃないのか?」
夜中に姿を消していただなんて、言える様子ではない。
「あんなおぞましい刺青があるなんて、呪い師かなにか怪しい者に違いない!」
そう思われても仕方がないだろう。
「あいつをだせ!」
「やめなさい!
この方たちは騙されていたのです!」
村人と俺達の間に割って入ったのは、昨日と同じくカイルという医者だった。
「いったい誰に?!」
村人が問う。
答えはわかっていた。
「あの咲という刺青の若者にです!
私は見ました、怪しげな術を使って子ども達を拐っていったのです!」
「なんだって!」
「なんという災いをつれてきたんだ!」
「お止めなさい!
この方たちは無実、騙されていたのです。」
「でも先生!」
「寒いですから中にお入りください。
助ける方法を考えましょう。」
男は家へと皆を誘う。
彼は朝方何食わぬ顔をして帰ってきた。
爆発音を聞いて森に行って、子どもを拐う咲を見たのだと言ったのだ。
「そういえば、あなたはどこで見たんですか?」
カイルはあいつを振り返った。
「森の中でです。
子ども達を怪しげな動きで誘導して」
「なぜ止めなかったんです?」
辺りが一瞬静まり返った。
「金縛りです。
あいつに術をかけられたんですよ。」
「金縛り・・・
あるいは恐怖で動けなかったのかもしれませんね?」
「ええ。
絶好の救出の機会でしたのに、申し訳ありません・・・」
「先生は悪くないさ!」
「そうだ!
むしろ犯人を見つけてくれただけでもありがたい!」
カイルを先頭に村人が家に入っていく。
「十中八九嘘でしょうね。」
少年が言った。
「あの人ならそんなに面倒な術なんて使わない。
縄でもつけてさらっていくに違いない。」