ジェイド国
名前変換
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ファイさんの祖国は雪国だといった。
黒鋼さんの祖国には四季があるらしい。
「咲のいた国は?」
そんな低級な家畜に乗るかと言って、近くの木を飛んで移動しているその人に、姫はいつの間にか名前をつけていておれたちは度肝を抜かれた。
飼い犬じゃねぇんだぞ、と思わず呟いた黒鋼さんは次の瞬間にはうずくまっていた。
強烈な蹴りが腹部に叩き込まれたらしい。
―暴力反対!―
叫ぶモコナにいつも通り、
―本気なら死んでるつってんだ。
こいつが相当な雑魚なら仕方ないがな。―
といって嫌みに笑った。
黒鋼さんが青筋を立てたのは言うまでもない。
―てめぇ―
ぎらりと殺気だった赤い瞳が咲を捉えた。
―黙れ屑。
それで強いと思ってるんだから笑えて腹が痛ぇ!―
―てめぇなんざ刀さえあれば!―
―あっても知れてるさ!―
一触即発の現場にはらはらしているのはおれとモコナで、唯一止められそうなファイさんは我関せずだし、姫に至っては微笑んでいる。
不思議そうに見ているおれに気づいたのか、姫は口を開いた。
―だって、やっと仲良くなってきたみたいだから。―
結局その夜の部屋割りは、男性と、女性モコナとなった。
「聞いてどうする。」
「気になるんだもん。」
咲はため息をついた。
姫はにこにこと笑っている。
「常春の国と呼ばれた、豊かな国だ。」
意外だと思ったのはおれだけではないらしい。
「そうなんだ。
じゃあ寒いのは苦手?」
「一緒にするなと何度言ったら分かるんだ。
寒さくらい大したことはない。」
「そこで何をしていたの?」
「仕事か?
聞いてどうする。」
「気になるんだもの。
常春なんて素敵。」
咲はため息をつくと遠くを見た。
まるで、その美しい国を思うように。
「兵器だ。
簡単に言えばな。
狙われる豊かな国のため、敵を殲滅する兵器。」
唖然として立ち止まるおれたちをおいて、彼女は先へと進んでいった。