高麗国
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「みんな!目を覚ませ!」
鏡を持って春香ちゃんと私は部屋に飛び込んだ。
操られて小狼君を攻撃していた町の人達は目を覚ましたようで、口々にここはどこだと言っている。
「この鏡にかけて、もうお前なんかに町の人を自由にはさせない!」
「くそぉ!」
領主が冷や汗を流してうめいた。
その正面には小狼君がいる。
振り返ればファイさんと黒鋼さんも。
「あれー?なんだか人がいっぱい?」
ぼろぼろだけれど、いつも通りの笑顔を浮かべていてホッとする。
心から笑っていないことは分かっていてもほっとするのは、ファイさんに笑顔を張り付けるだけの余裕があると言うことだから。
ファイさんの向こう、瓦礫の中に黒い影が見えた。
(あの人だ。)
あの人が誰を見ているか、私には分かった。
そして、あの人が私が気づいていることに気づいていると言うことさえわかった。
(不思議・・・なんでかな。)
「・・・あいつがいねぇ。」
黒鋼さんがこそっとファイさんに言う。
ファイさんの笑顔が、一瞬消えた。
「殺されたのかな。」
きっとそれが聞こえているんだろう。
あの人は気配を消してじっとしている。
「羽根を・・・返せ。」
小狼くんの強い言葉に、私はあの人から目を離した。
あの人は言うだろうから。
ー見とけ屑!
てめぇはそんなんだから記憶なんてもんまで失うんだ!ー
不思議だ。
どうして私は、あの人の考えることがこんなにも分かるのだろう。
「ま、待て!
この羽根の力を使えば、きっと春香の母親は・・・!」
領主の言葉に、春香ちゃんが肩を震わせる。
「お前が殺したんだろ!この町を守ろうとした母さんを!
それに母さん言ってた!
どんな力を使っても、失った命は戻らないって!
どんなに私が会いたくても、
もう母さんには会えないんだ!
それなのにそんなたわごと!」
泣き叫ぶ春香を、思わず抱きしめる。
この子は小さいのに強いと思う。
「春香、仇を討ちたいか?
それで気が済むならいい。
けれど、春香が手をかける価値のある男か?」
小狼君が尋ね、そして。
「こんな奴・・・殴る手がもったいない!」
春香ちゃんが怒鳴った。
次の瞬間、私の隣を風が通り過ぎる。
床にぱらぱらと音を立てて血が散った。
きっとあの人は、ひどいけがをしている。
小狼君の前に、あの人が立っている。
フードで顔を隠していて表情は見えない。
「退け。」
小狼君があの人に言った。
「てめぇはこいつを殴る程下衆だもんなぁ?」
深いフードの中から、そんな馬鹿にしたような声がした。
「おれは」
領主の後ろの時空が大きな音を立てて歪み、小狼君は言葉を切った。
どうやら別の世界への扉が開いているようだ。
「準備がいいな、童。」
その歪みから綺麗な女の人が現れた。
人には収まらないほどの大きな不思議な力を持っているから、人間ではないと思うけれど。
「当たり前だ、屑と一緒にするんじゃねぇ。
連れてってくれんだろ?」
あの人が答えた。
フードの下ではきっとにやりと笑っている。
でもその笑顔は、苦痛にゆがんでいるのを隠すためなんだと、私は知っている。
身体の痛みも、心の痛みも隠すために、彼女は不敵に笑うのだ。
「もちろん。」
女の人も笑った。
「蓮怪!」
春香ちゃんが叫ぶ。
「母さんと仲が良かった秘妖なんだ!」
そして嬉しそうに笑った。
あの人とは違う、純粋な笑顔。
その笑顔にほっとする。
「ではまたな、虫けらどもめ。」
必死に抵抗する領主を連れて、蓮怪さんは時空を超えて行った。
気づけばあの人も姿を消していた。
みんなが歓声を上げている。
羽根が取り戻され。小狼君が持ってきてくれて、羽根が私の中に戻っていく。
あの人がいないことを誰かに言わなければと思ったけれど、きっとファイさんは気づいているだろうなと思い出して、私は夢についた。
鏡を持って春香ちゃんと私は部屋に飛び込んだ。
操られて小狼君を攻撃していた町の人達は目を覚ましたようで、口々にここはどこだと言っている。
「この鏡にかけて、もうお前なんかに町の人を自由にはさせない!」
「くそぉ!」
領主が冷や汗を流してうめいた。
その正面には小狼君がいる。
振り返ればファイさんと黒鋼さんも。
「あれー?なんだか人がいっぱい?」
ぼろぼろだけれど、いつも通りの笑顔を浮かべていてホッとする。
心から笑っていないことは分かっていてもほっとするのは、ファイさんに笑顔を張り付けるだけの余裕があると言うことだから。
ファイさんの向こう、瓦礫の中に黒い影が見えた。
(あの人だ。)
あの人が誰を見ているか、私には分かった。
そして、あの人が私が気づいていることに気づいていると言うことさえわかった。
(不思議・・・なんでかな。)
「・・・あいつがいねぇ。」
黒鋼さんがこそっとファイさんに言う。
ファイさんの笑顔が、一瞬消えた。
「殺されたのかな。」
きっとそれが聞こえているんだろう。
あの人は気配を消してじっとしている。
「羽根を・・・返せ。」
小狼くんの強い言葉に、私はあの人から目を離した。
あの人は言うだろうから。
ー見とけ屑!
てめぇはそんなんだから記憶なんてもんまで失うんだ!ー
不思議だ。
どうして私は、あの人の考えることがこんなにも分かるのだろう。
「ま、待て!
この羽根の力を使えば、きっと春香の母親は・・・!」
領主の言葉に、春香ちゃんが肩を震わせる。
「お前が殺したんだろ!この町を守ろうとした母さんを!
それに母さん言ってた!
どんな力を使っても、失った命は戻らないって!
どんなに私が会いたくても、
もう母さんには会えないんだ!
それなのにそんなたわごと!」
泣き叫ぶ春香を、思わず抱きしめる。
この子は小さいのに強いと思う。
「春香、仇を討ちたいか?
それで気が済むならいい。
けれど、春香が手をかける価値のある男か?」
小狼君が尋ね、そして。
「こんな奴・・・殴る手がもったいない!」
春香ちゃんが怒鳴った。
次の瞬間、私の隣を風が通り過ぎる。
床にぱらぱらと音を立てて血が散った。
きっとあの人は、ひどいけがをしている。
小狼君の前に、あの人が立っている。
フードで顔を隠していて表情は見えない。
「退け。」
小狼君があの人に言った。
「てめぇはこいつを殴る程下衆だもんなぁ?」
深いフードの中から、そんな馬鹿にしたような声がした。
「おれは」
領主の後ろの時空が大きな音を立てて歪み、小狼君は言葉を切った。
どうやら別の世界への扉が開いているようだ。
「準備がいいな、童。」
その歪みから綺麗な女の人が現れた。
人には収まらないほどの大きな不思議な力を持っているから、人間ではないと思うけれど。
「当たり前だ、屑と一緒にするんじゃねぇ。
連れてってくれんだろ?」
あの人が答えた。
フードの下ではきっとにやりと笑っている。
でもその笑顔は、苦痛にゆがんでいるのを隠すためなんだと、私は知っている。
身体の痛みも、心の痛みも隠すために、彼女は不敵に笑うのだ。
「もちろん。」
女の人も笑った。
「蓮怪!」
春香ちゃんが叫ぶ。
「母さんと仲が良かった秘妖なんだ!」
そして嬉しそうに笑った。
あの人とは違う、純粋な笑顔。
その笑顔にほっとする。
「ではまたな、虫けらどもめ。」
必死に抵抗する領主を連れて、蓮怪さんは時空を超えて行った。
気づけばあの人も姿を消していた。
みんなが歓声を上げている。
羽根が取り戻され。小狼君が持ってきてくれて、羽根が私の中に戻っていく。
あの人がいないことを誰かに言わなければと思ったけれど、きっとファイさんは気づいているだろうなと思い出して、私は夢についた。