企画 ーSt. Valentine's Dayー
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「あの、これ・・・」
ツインテールの少女が俯き加減に差し出したのは、赤い箱に白いリボンが掛かった小箱。
渡された方はさっとしゃがんで少女の顔を覗き込む。
無精髭の生えた作務衣姿からは想像できない紳士的な態度だが、これが彼の素だ。
「アタシにくれるんですか?」
少女はこくこくと頭を縦に振った。
「いつも、ありがとうございます。」
普段よりも少し大きな声でそう言った小さな頭を、大きな手は優しく撫でた。
内気な雨 が家族がわりの人達へのお礼に、バレンタインチョコを渡したいと相談してきたのは1月以上も前の事。
それほど彼女の中で彼等の存在が大きいということなのだろう。
いつもよりも軽い足取りで廊下を曲がって行く雨を見送り、浦原さんがこちらを向いたので、襖の影から顔を出す。
緩く細められた目と僅かに上がった口元が、彼の心を物語っている。
自覚があるのか扇子でさっさと隠してしまった。
大変残念だ。
「なんです、にやついちゃって。」
どうやら私も同じ顔をしていたらしい。
雨とジン太と一緒に住むようになって、毎日が明るくなった。
復讐と使命を抱えた私達にとって無邪気な子どもは、まるで光。
連れてきたのは浦原さんだ。
彼は言った。
ーアタシ達は腹の中に殺意を抱えているかもしれない。
だがそれに呑み込まれるのは、馬鹿のすることだ。ー
扇子と帽子で表情を隠したままの私の隣に来たので口を開く。
「その昔、愛する人を故郷に残すと兵士の士気が下がると結婚を廃止した皇帝がいたそうです。
バレンタインは、それに逆らったキリスト教司祭が処刑された日なんですって。」
「あれまぁ、そりゃ酷い。」
「でも私も一緒かも。」
「おやぁ、それはどういうことですか?」
その言葉に、引っかかる物言いをしてしまったと気づかされる。
扇子と帽子の影から、思慮深い瞳が私を見おろす。
こういう時に穏やかに真意を問うのが昔ーー隊長だったの頃からの癖だ。
だから私は冗談めかして言う。
「愛で人は強くなると私も信じてるって事です。
はい!
いつもありがとうございます!」
背伸びをして持っていたチロルチョコを彼の帽子の上に乗せ、にやにやしながら部屋を出た。
*創作時の決まり事
テーマは節分/1,000文字以内
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
テーマは【バレンタイン】。
【 whimsy room 】の銀木セイ様との『創作力を上げよう企画』の第二弾です。
(銀木さまのお話のページは こちら )
節分企画と同様、今後はこのお話に条件を付けて交換し、お互いが自分なりに相手の作品を書き換えていく予定です。
ツインテールの少女が俯き加減に差し出したのは、赤い箱に白いリボンが掛かった小箱。
渡された方はさっとしゃがんで少女の顔を覗き込む。
無精髭の生えた作務衣姿からは想像できない紳士的な態度だが、これが彼の素だ。
「アタシにくれるんですか?」
少女はこくこくと頭を縦に振った。
「いつも、ありがとうございます。」
普段よりも少し大きな声でそう言った小さな頭を、大きな手は優しく撫でた。
内気な
それほど彼女の中で彼等の存在が大きいということなのだろう。
いつもよりも軽い足取りで廊下を曲がって行く雨を見送り、浦原さんがこちらを向いたので、襖の影から顔を出す。
緩く細められた目と僅かに上がった口元が、彼の心を物語っている。
自覚があるのか扇子でさっさと隠してしまった。
大変残念だ。
「なんです、にやついちゃって。」
どうやら私も同じ顔をしていたらしい。
雨とジン太と一緒に住むようになって、毎日が明るくなった。
復讐と使命を抱えた私達にとって無邪気な子どもは、まるで光。
連れてきたのは浦原さんだ。
彼は言った。
ーアタシ達は腹の中に殺意を抱えているかもしれない。
だがそれに呑み込まれるのは、馬鹿のすることだ。ー
扇子と帽子で表情を隠したままの私の隣に来たので口を開く。
「その昔、愛する人を故郷に残すと兵士の士気が下がると結婚を廃止した皇帝がいたそうです。
バレンタインは、それに逆らったキリスト教司祭が処刑された日なんですって。」
「あれまぁ、そりゃ酷い。」
「でも私も一緒かも。」
「おやぁ、それはどういうことですか?」
その言葉に、引っかかる物言いをしてしまったと気づかされる。
扇子と帽子の影から、思慮深い瞳が私を見おろす。
こういう時に穏やかに真意を問うのが昔ーー隊長だったの頃からの癖だ。
だから私は冗談めかして言う。
「愛で人は強くなると私も信じてるって事です。
はい!
いつもありがとうございます!」
背伸びをして持っていたチロルチョコを彼の帽子の上に乗せ、にやにやしながら部屋を出た。
*創作時の決まり事
テーマは節分/1,000文字以内
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テーマは【バレンタイン】。
【 whimsy room 】の銀木セイ様との『創作力を上げよう企画』の第二弾です。
(銀木さまのお話のページは こちら )
節分企画と同様、今後はこのお話に条件を付けて交換し、お互いが自分なりに相手の作品を書き換えていく予定です。