本編 ーthirdー
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「新しい洗濯機、使えたら楽なのにね」
「どーう考えても防衛部の方が洗濯の回数多いのにさぁ」
防衛部しかいない浴室。
笠原の発言に遠慮はなくなっているが。
「慣れていますから」
小声で返す野々宮。
他の防衛部はと無言を守る。
(この辺の無防備さって、あたしが部外者だからなんだな)
咲はと言えば、ひとり少し離れたところで体を洗っていた。
「射的のコツ、伺ってもいいですか?」
野々宮が無難に会話を変えた。
「え、あたし人にアドバイスできるほど巧くないし……咲の方がいいんじゃないかな」
毎日指導に当たっている咲。
淡々と指導をする姿は特殊部隊でも珍しい上、あまり世間話をする方ではないためか、防衛部からはすこし近寄りがたいようだ。
「ねぇ、咲。
ちょっとこっちにきてよ」
目の端にちらりと映った佐々木が、妙にそわそわとしているように見えた。
咲は掛け湯をするとするりと湯船に入ってきた。
線が細く、華奢な体から、あの狙撃の腕はなかなか想像できない。
「射的のコツ教えてほしいんだって」
防衛部員の視線を集め、咲は少しきょとんとしてから、小さく首を振った。
「相当のことがない限り、みなさんが銃を持たなくていいように我々が動きますので」
「でももしかしたら持つかもしれないでしょ?」
無意識だろうが切り捨てるような言い方に、笠原が食い下がる。
咲もその言葉の意味に気づいたのか、少し考え込んだ。
「覚悟すること、です」
咲の目は湯を眺めているのに、どこか遠くを見ているように見えた。
「防弾チョッキを着ている人は、撃ってもすぐには死なない。
しっかり狙って打つことが、敵のため。
そう思って、引き金を引くことです」
その言葉は、笠原にははっきり理解はできない気がした。
そんなことを考えて普段から銃を引いているなんて、思いもしなくて、
そしてふと彼女の両親のことが頭をよぎって、かは小さく微笑んだ。
「分かった、しっかり覚えとく」
