本編 ーthirdー
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いつのまにか、だった。
初めは咲と同じように独りだった笠原の周りに防衛部員がいるようになったのは。
否、むしろ本当は彼女達はそうしたかったのだろう。
営業部の目を恐れ、少しずつしか彼女に近づけなかっただけの話。
でも、それが咲にはどこか辛かった。
「咲、ご飯にいかない?」
「すみません、まだ銃の整備があって」
咲の返事に、笠原は少しだけためらった。
「あ……そっか。
じゃあまた、ね」
でもすぐに笑顔を戻す。
咲も悪いことをしている自覚はあった。
夕食を断ったのは、今日で2日目だ。
水戸に来るまでは、断ったことなんてないのに。
防衛部員達がそわそわしている。
妙な空気を感じたからだろう。
咲は頭を下げた。
「申し訳ありません」
「いいよ、気にしないで」
笠原もそれ以上引きとめるのもどうかと思ったのだろう。
防衛部と共に動いていった。
人といることには慣れなかった。
いつも独りだった。
毬江に出会って、2人でいるようになった。
仕事をするようになって、職場の仲間も、チームもできた。
それでも。
(……遠い)
自分に向けられた背中達が妙にまぶしくて、咲は目をそらした。
そしてそのまま倉庫へと向かう。
自分には合わないのだ。
人の中で過ごすことも、輪の中にいることも。
図書館隊員という馴染んだ仲間ならまだしも、唐突に出会った彼女たちと慣れ合うことは、咲にはずいぶんハードルが高い。
笠原のように素直になじめないのだ。
(笠原士長は少し楽しそうだ)
可愛がられはしても、男ばかりでなかなか尊敬されるようなことは少ないだろうから、嬉しいんだろう。
逆に咲は人づき合いが不得意で、普段同室がいないだけに、たとえ親しい笠原とでも、プライベート空間を共有することに疲れている。
だから食事の時間は、朝昼は無理でも夜はできる範囲でずらしていた。
お風呂は遅くすると翌日の練習に響くから、やはり彼女達と共にするしかない。
(嫌だなんて、言えないけれど、やはり態度には出ているんだろうな……)
明るい場所は自分には似合わないことは一番よく分かっていた。
そしてそれが、ただの僻みが深く心に根付いてしまった結果の、一種の意地のようになっていることにだって、薄々気づいている。
でも、それを直せるような器用さは持ち合わせていないし、助けてくれる人もいない。
(……だからこのままでいい)
「忙しいのね。
先輩が遊んでばかりだと」
業務部の女に声をかけられた。
見られていたのだろう。
聞こえなかったことにして通り過ぎようとすると、しばらくして後ろから声が追いかけてきた。
「いい度胸ね」
咲は立ち止まり、軽く振りかえる。
「……自分の銃の整備を、丁寧にしたいだけですから」
彼女達は嫌なのだろう。
防衛部が楽しそうにしているのも、自分たちが最下層だと思いたい特殊部隊が大きな顔をしているのも。
初めは咲と同じように独りだった笠原の周りに防衛部員がいるようになったのは。
否、むしろ本当は彼女達はそうしたかったのだろう。
営業部の目を恐れ、少しずつしか彼女に近づけなかっただけの話。
でも、それが咲にはどこか辛かった。
「咲、ご飯にいかない?」
「すみません、まだ銃の整備があって」
咲の返事に、笠原は少しだけためらった。
「あ……そっか。
じゃあまた、ね」
でもすぐに笑顔を戻す。
咲も悪いことをしている自覚はあった。
夕食を断ったのは、今日で2日目だ。
水戸に来るまでは、断ったことなんてないのに。
防衛部員達がそわそわしている。
妙な空気を感じたからだろう。
咲は頭を下げた。
「申し訳ありません」
「いいよ、気にしないで」
笠原もそれ以上引きとめるのもどうかと思ったのだろう。
防衛部と共に動いていった。
人といることには慣れなかった。
いつも独りだった。
毬江に出会って、2人でいるようになった。
仕事をするようになって、職場の仲間も、チームもできた。
それでも。
(……遠い)
自分に向けられた背中達が妙にまぶしくて、咲は目をそらした。
そしてそのまま倉庫へと向かう。
自分には合わないのだ。
人の中で過ごすことも、輪の中にいることも。
図書館隊員という馴染んだ仲間ならまだしも、唐突に出会った彼女たちと慣れ合うことは、咲にはずいぶんハードルが高い。
笠原のように素直になじめないのだ。
(笠原士長は少し楽しそうだ)
可愛がられはしても、男ばかりでなかなか尊敬されるようなことは少ないだろうから、嬉しいんだろう。
逆に咲は人づき合いが不得意で、普段同室がいないだけに、たとえ親しい笠原とでも、プライベート空間を共有することに疲れている。
だから食事の時間は、朝昼は無理でも夜はできる範囲でずらしていた。
お風呂は遅くすると翌日の練習に響くから、やはり彼女達と共にするしかない。
(嫌だなんて、言えないけれど、やはり態度には出ているんだろうな……)
明るい場所は自分には似合わないことは一番よく分かっていた。
そしてそれが、ただの僻みが深く心に根付いてしまった結果の、一種の意地のようになっていることにだって、薄々気づいている。
でも、それを直せるような器用さは持ち合わせていないし、助けてくれる人もいない。
(……だからこのままでいい)
「忙しいのね。
先輩が遊んでばかりだと」
業務部の女に声をかけられた。
見られていたのだろう。
聞こえなかったことにして通り過ぎようとすると、しばらくして後ろから声が追いかけてきた。
「いい度胸ね」
咲は立ち止まり、軽く振りかえる。
「……自分の銃の整備を、丁寧にしたいだけですから」
彼女達は嫌なのだろう。
防衛部が楽しそうにしているのも、自分たちが最下層だと思いたい特殊部隊が大きな顔をしているのも。
