本編 ーsecondー
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「……って感じなんだけど」
「なんだけどと言われてもだな……」
ビール片手に2人は小さな隊員の相談だ。
「欲しがってんだろ」
「うん」
堂上はため息をついた。
彼女の元気がない理由を知るのはおそらく自分だけだろう。
時折探りを入れてくる小牧にさえ、彼女との約束を守って伝えてはいない。
彼女は彼女のペースで必ず乗り越えられるとーー否、彼女の仲間達ならば、必ず乗り越えられると、堂上は信じていた。
「進藤一正、あいつのことになるとちょっと迷う節があるからな」
「人のこと言えないよね」
「煩い」
堂上はビールをあおる。
「それにしても、そんなことを言うようになったのか。
あいつが」
小牧は小さく笑う。
「意外?」
「ああ。
業務もまだまだ失敗が多い。
加えて試験勉強だ。
あいつ自身も余裕があるわけじゃない」
小牧もビールをグイッと飲む。
「そうだね。
昔なら自分のことばっかりでも周りに迷惑をかけていたくらいなのに」
「それがチビの心配してるんだぞ」
「成長したって?」
「どうだかな」
「ちょっと嬉しいけど寂しいのかな?」
「なんでだ」
「親心さ」
堂上はそれには答えず、飲み終えたカンを握りつぶし、ごみ箱に投げる。
カラン
小気味良い音を立てて、綺麗に入った。
「明日でも、ちょっと話聞いてみるか」
「……頑張ってみるか?」
咲は目を瞬かせる。
「お前はまだ若いし、焦る必要はない。
山本もだ。
試験を受けるのは来年で通常。
早く受けるんだから、肩肘張る必要はない」
頬を掻く進藤。
少し言うのが遅くなってしまったのが、ちょっと気まずいらしい。
「…………ます」
小さな声に、進藤は首をかしげる。
山本も目を瞬かせる。
「がんばります!!」
次に返ってきた言葉に、その輝いた表情に、進藤は破顔する。
「おう、しっかりな。
落ちたら承知しねぇぞ」
「さっきということ違いますよ」
「なんだ、お前は受けない気か?」
「もちろん受けます」
「じゃ、落ちるんじゃねぇぞ」
咲と山本は顔を見合せて笑った。
「はい!
ありがとうございます!」
「では失礼します!」
咲は部屋から駆けだすように出て行き、それを山本が追いかける。
およそ業務に戻ったのだろう。
少し離れた席から、堂上がその様子をうかがっていた。
それに気づいた進藤が、堂上に笑いかける。
「礼を言わんといかんな、堂上。
最近、塞ぎ込んでいたのが、それが見たか、あの顔」
堂上も小さく笑う。
「うちのも彼女にはいろいろお世話になって、
おかげでようやく先輩らしい顔をするようになりましたから」
進藤は照れたように、でもやっぱりトム笑いをした。
「若いのは若い者同士、成長するもんだな」
「なんだけどと言われてもだな……」
ビール片手に2人は小さな隊員の相談だ。
「欲しがってんだろ」
「うん」
堂上はため息をついた。
彼女の元気がない理由を知るのはおそらく自分だけだろう。
時折探りを入れてくる小牧にさえ、彼女との約束を守って伝えてはいない。
彼女は彼女のペースで必ず乗り越えられるとーー否、彼女の仲間達ならば、必ず乗り越えられると、堂上は信じていた。
「進藤一正、あいつのことになるとちょっと迷う節があるからな」
「人のこと言えないよね」
「煩い」
堂上はビールをあおる。
「それにしても、そんなことを言うようになったのか。
あいつが」
小牧は小さく笑う。
「意外?」
「ああ。
業務もまだまだ失敗が多い。
加えて試験勉強だ。
あいつ自身も余裕があるわけじゃない」
小牧もビールをグイッと飲む。
「そうだね。
昔なら自分のことばっかりでも周りに迷惑をかけていたくらいなのに」
「それがチビの心配してるんだぞ」
「成長したって?」
「どうだかな」
「ちょっと嬉しいけど寂しいのかな?」
「なんでだ」
「親心さ」
堂上はそれには答えず、飲み終えたカンを握りつぶし、ごみ箱に投げる。
カラン
小気味良い音を立てて、綺麗に入った。
「明日でも、ちょっと話聞いてみるか」
「……頑張ってみるか?」
咲は目を瞬かせる。
「お前はまだ若いし、焦る必要はない。
山本もだ。
試験を受けるのは来年で通常。
早く受けるんだから、肩肘張る必要はない」
頬を掻く進藤。
少し言うのが遅くなってしまったのが、ちょっと気まずいらしい。
「…………ます」
小さな声に、進藤は首をかしげる。
山本も目を瞬かせる。
「がんばります!!」
次に返ってきた言葉に、その輝いた表情に、進藤は破顔する。
「おう、しっかりな。
落ちたら承知しねぇぞ」
「さっきということ違いますよ」
「なんだ、お前は受けない気か?」
「もちろん受けます」
「じゃ、落ちるんじゃねぇぞ」
咲と山本は顔を見合せて笑った。
「はい!
ありがとうございます!」
「では失礼します!」
咲は部屋から駆けだすように出て行き、それを山本が追いかける。
およそ業務に戻ったのだろう。
少し離れた席から、堂上がその様子をうかがっていた。
それに気づいた進藤が、堂上に笑いかける。
「礼を言わんといかんな、堂上。
最近、塞ぎ込んでいたのが、それが見たか、あの顔」
堂上も小さく笑う。
「うちのも彼女にはいろいろお世話になって、
おかげでようやく先輩らしい顔をするようになりましたから」
進藤は照れたように、でもやっぱりトム笑いをした。
「若いのは若い者同士、成長するもんだな」