本編 ーfirstー
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人、人、人、人
こんなに人がいるのに、探している人はいない。
「空太刀!」
返事はないのは当たり前かもしれない。
声も雑踏に吸い込まれていってしまう。
同期という枠にははいるものの、彼女は自分よりも4つ下の女の子。
咲は大人びているし、しっかりしている。
だから、大丈夫、そうわかってはいるのだが。
「ったく」
何でも自分でこなそうとする彼女が心配なのだ。
確かに彼女ならば自分で何でもできてしまう。
あいつは大丈夫だ。
心配いらない。
分かっている。
それでも。
「空太刀!」
何かあったんじゃないか。
迷ってないだろうか。
変な輩に絡まれていないだろうか。
ーーまさか誰か特別な人に偶然会ったり……
「山本?」
静かな声が背後からして、俺は振り返る。
きょとんとした、片手に綿菓子を持つ彼女になんだか焦っていた自分が馬鹿みたいに思えて。
「心配させんなよ、馬鹿」
「あんな目立つ集団からはぐれるなんて……面目ない」
視線を合わせてくれないのは、少しは反省しているからなのか。
「本当に反省してんのか?
綿菓子なんか買って。
……ま、いっか。
後で半分くれよな」
綿菓子を持っていないほうの手に、俺は手を伸ばした。
はぐれないで済むように。
つないだ手は役得
こんなに人がいるのに、探している人はいない。
「空太刀!」
返事はないのは当たり前かもしれない。
声も雑踏に吸い込まれていってしまう。
同期という枠にははいるものの、彼女は自分よりも4つ下の女の子。
咲は大人びているし、しっかりしている。
だから、大丈夫、そうわかってはいるのだが。
「ったく」
何でも自分でこなそうとする彼女が心配なのだ。
確かに彼女ならば自分で何でもできてしまう。
あいつは大丈夫だ。
心配いらない。
分かっている。
それでも。
「空太刀!」
何かあったんじゃないか。
迷ってないだろうか。
変な輩に絡まれていないだろうか。
ーーまさか誰か特別な人に偶然会ったり……
「山本?」
静かな声が背後からして、俺は振り返る。
きょとんとした、片手に綿菓子を持つ彼女になんだか焦っていた自分が馬鹿みたいに思えて。
「心配させんなよ、馬鹿」
「あんな目立つ集団からはぐれるなんて……面目ない」
視線を合わせてくれないのは、少しは反省しているからなのか。
「本当に反省してんのか?
綿菓子なんか買って。
……ま、いっか。
後で半分くれよな」
綿菓子を持っていないほうの手に、俺は手を伸ばした。
はぐれないで済むように。
つないだ手は役得