本編 ーfirstー
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お昼過ぎの中庭。
桜の咲く中庭に佇む影は見おぼえがあり、思わず名を呼ぶ。
「咲ちゃん!」
突然聞こえた声に驚いたのだろう。
大きく手を振れば、少し目を見開きながらも郁の方を見て、咲は頭を下げた。
「入隊式終わったの?」
近くまで行ってからそう声をかけると、咲は微笑んだ。
「はい」
「そっか、おめでとう」
真新しい制服はノリが利いていて、若々しい印象を受ける。
そうでなくても、彼女のように高卒で入ってくる隊員は少ない。
やはり大学4年間で人の見た目は大きく変わるものだ、と、他の新入隊員と比べても思う。
でも彼女の中にはどこか、他の高卒隊員にはない大人びた部分があることは、郁もすでに知っている。
「ありがとうございます」
そこにやってきたのは、今日のバディである手塚だ。
「主席だったんだってな」
その声に、彼女は少し照れたように俯いた。
咲がこんな表情をするなんて珍しいな、と郁は思う。
「早く追いついて見せます、なんて」
「空太刀ーっ」
向こうから声がし、咲が振り返って、あっと口を開け、僅かに微笑む。
それから2人にもう一度向き直った。
「では失礼します」
頭を下げて駆けていく。
その先にいる、もう1人の新入隊員。
「山本か。
あいつは一士の主席だったはずだな」
「何とも優秀なコンビだね」
「二人揃って特殊部隊入りとかなったら面白いな」
「そうだね」
いつかの自分たちのようにいがみ合っているわけではない。
共に歩く二人は、お似合いなくらいのいい仲間に見えた。
桜吹雪の先に並ぶ、新しい2つの制服。
それはまぶしくて、危なげで、でも、希望に満ちていて。
「それまでに追い越されないように気をつけろよ」
「一言多い!」
後輩の背中
桜の咲く中庭に佇む影は見おぼえがあり、思わず名を呼ぶ。
「咲ちゃん!」
突然聞こえた声に驚いたのだろう。
大きく手を振れば、少し目を見開きながらも郁の方を見て、咲は頭を下げた。
「入隊式終わったの?」
近くまで行ってからそう声をかけると、咲は微笑んだ。
「はい」
「そっか、おめでとう」
真新しい制服はノリが利いていて、若々しい印象を受ける。
そうでなくても、彼女のように高卒で入ってくる隊員は少ない。
やはり大学4年間で人の見た目は大きく変わるものだ、と、他の新入隊員と比べても思う。
でも彼女の中にはどこか、他の高卒隊員にはない大人びた部分があることは、郁もすでに知っている。
「ありがとうございます」
そこにやってきたのは、今日のバディである手塚だ。
「主席だったんだってな」
その声に、彼女は少し照れたように俯いた。
咲がこんな表情をするなんて珍しいな、と郁は思う。
「早く追いついて見せます、なんて」
「空太刀ーっ」
向こうから声がし、咲が振り返って、あっと口を開け、僅かに微笑む。
それから2人にもう一度向き直った。
「では失礼します」
頭を下げて駆けていく。
その先にいる、もう1人の新入隊員。
「山本か。
あいつは一士の主席だったはずだな」
「何とも優秀なコンビだね」
「二人揃って特殊部隊入りとかなったら面白いな」
「そうだね」
いつかの自分たちのようにいがみ合っているわけではない。
共に歩く二人は、お似合いなくらいのいい仲間に見えた。
桜吹雪の先に並ぶ、新しい2つの制服。
それはまぶしくて、危なげで、でも、希望に満ちていて。
「それまでに追い越されないように気をつけろよ」
「一言多い!」
後輩の背中