リクエストー大人の階段ー
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「何を言ってんのか分かっているのか!!」
「咲ももう立派な大人の女性なの!
お兄ちゃんぶるのもいい加減にしたらどうですか!」
「だれが兄貴ぶってるだと?」
「篤さんがです!
咲にまだ謝ってもいない癖に!」
「はいはい。
夫婦喧嘩はそこまで!」
堂上宅に招かれているのは、小牧に手塚、そして柴崎だ。
みんなで仲良く鍋をつついていたが、話は今日は珍しく参加していない咲のことに自然と移っていった。
彼女が今日居ない理由。
それは慧とお泊りデートだからである。
まずそれにショックを受けているのが手塚弟で、さっきから何も話さず鍋奉行に徹している。
堂上もいい顔はしていなかったが、それも仕方がないと納得していたはずだった。
どうして喧嘩になったのかといえば、郁が“お酒で迫っちゃえ作戦”のことを口を滑らせたのだ。
すでに酒も入った鍋パーティーで夫婦喧嘩にもつれ込むのは時間の問題だった。
「大人の階段登ってるんですよ、あの子も。
見守ってあげるのがお兄ちゃんの仕事です。
はい、どうぞ。」
柴崎がビール瓶を見せて酌をする。
「ほら、手塚も。
鍋はそんなもんでいいから飲みなよ。」
手塚には小牧が注いでやる。
「誰が兄貴だ・・・。」
「・・・死ね馬鹿兄貴。」
ぶつぶつと言いながらビールを煽る堂上夫と手塚に見えないように、3人は顔を見合せて笑った。
「案外、大人の顔するじゃないか。」
慧はそっとその頬に手を滑らせた。
大人の顔、と言われた咲の方は嬉しいのと恥ずかしいのが混じって真赤である。
ぎこちなく潤んだ瞳で見上げてくる様子に、慧の庇護欲がそそられた。
大人っぽいかと聞かれれば首をかしげてしまうが、間違いなく艶やかな女だ。
二人きりでおいしいコース料理を食べ、客室についている露天風呂でも、酒でも温まって。
「たまには昔のようになるのも、悪くないかもしれないな。」
今日の咲は頑張っていた。
綺麗になろうと頑張っているのか風呂も長かったし、酒もよく飲み、よく注いでくれた。
いつもより距離も近く、良い香りがした。
大人な慧に追いつこうと必死に頑張る姿は健気で、独占欲を満たすにはなかなかのものだった。
くすりと笑って髪を掻きあげ、慧は眼鏡を外した。
そのまま顔を近づける。
反応が無いな、と思って目を開けると、目の前には綺麗に閉じられた長い睫毛。
「おーい?」
その頬を軽くさすっても、起きる気配はない。
慧は思わずソファの背に凭れて天井を見上げた。
「これは誤算だったな。」
ちらりと咲を見れば、胸元が肌蹴かけていて、白いレースが覗いている。
思わず手を伸ばし、つーっとレースの淵を辿ると、咲は小さく吐息を吐いた。
慧は目を細める。
自然と上がる口の端。
「さぁて・・・どうやっていただこうか。」
そして頬に口づけを落とすと、そっと抱き上げた。
五段目