リクエストー大人の階段ー
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「馬鹿だね。」
「はっきり言うな。」
談話室のベンチでうなだれている堂上を拾ったのは小牧だった。
事の発端は手塚が咲が悩んでいるであろうことに気付いたことだ。
彼女が読んでいた本を手にとって、どうしたものかと考えているところに郁がやってきて、驚いた。
いつも通り素直な郁の反応で、それが手塚をひどく辱めたのだろう。
それに反論しようとして手塚が言ってしまったのだ。
ー空太刀がこのあたりの本を手にして悩んでいる様子だったから確認しに来ただけだ!
決して俺が興味を持ったわけではない!ー
言ってから彼も自分の失態に気づいたらしい。
執務室で頭を抱えているのを見かけた。
話は郁から小牧や堂上に広がり、当然柴崎の耳にも入る。
柴崎がなんとかするから、郁は手出しをするな、という形で収まったはずなのだが。
「・・・あいつの顔を見たら、つい・・・。」
らしくないこともあるものだ、と思う。
本来の堂上篤という人間らしくはあるのだが。
(空太刀さんを翻弄しているつもりなんだろうけれど、どうしてこうも俺たちまで巻き込まれているのかな・・・。)
それまで含めて楽しんでいるのであれば、手塚慧はずいぶんと厄介な男だ、と小牧は思った。
「・・・咲、あんた・・・」
「なんれすか?」
真赤になって涙目になって凄んだところで、それは可愛らしいだけの話。
呂律すら回っていない。
「の、飲みすぎ。」
「いいんですよ、別に。」
またぐいぐいっとビールを煽る。
「・・・どうせ子どもだもん。」
柴崎と郁は顔を見合わせて溜息をつく。
「そんなことないよ、心配いらないって。」
郁が肩を抱いて励ますと、すん、と胸元にすり寄って、自然と上目遣いに見上げてきた。
「笠原士長・・・お姉ちゃん、みたい・・・。」
そんなことを言ってきゅっとパジャマを握るものだから、郁は頬をほんのり赤らめ、ぎゅうっと咲を抱きしめた。
「もうっ咲かわいいっ!
お姉ちゃんが守ってあげるんだからっ!
堂上教官にはしっかり飛び蹴りでもお見舞いしてやるんだから!」
「・・・笠原を落とせるくらいなんだから、もうその手でいけるんじゃないの?」
溜息交じりの柴崎の言葉に、郁はあっと声を上げる。
「そうだ、咲。
お酒で迫っちゃえ作戦だ!
・・・って、え?」
腕の中ではいつの間に寝たのか、あどけない顔で眠る咲。
上気した頬、長いまつげ、乱れた髪。
ほんのりあいた唇は、お酒のせいか艶やかに潤っている。
「・・・これはいけそうね・・・。」
四段目