それから
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薄い唇の隙間から細く息が漏れた。
早鐘のような心臓の音が響く。
咲は震える手を曲げた。
拳銃の先が向かう場所に、誰もがー犯人でさえもー目を見開いた。
「私には、で、きな……いっっっ!!!」
悲痛な叫びと共に咲の米神に当てられた銃。
「やめろ!!!!」
その声と共に咲は強い力で拘束され、発砲直前で拳銃を奪われた。
その拳銃にすがるように手を伸ばした時には、発砲音がしてびくりと手を引っ込めた。
次の瞬間、叫びを挙げたのは男で、堂上は直ちに走り出し、郁を引き寄せ、男を蹴り倒す。
男は右肩を押さえてのたうち回っている。
撃たれたのだ。
咲を左手で抱き寄せて、未だに銃口を男に向けたままの、鋭い殺気を放つーー慧に。
山本と小牧が駆け寄り男を取り押さえた。
手塚他数名が参加者達の無事の確認に回る。
「いい気になるなよ!
これで大騒動になる!
お前たちの過去だって問題になるはずだ!
どれ程の人を痛め付けてきたか!
自由のために人を殺してきたか!
なのに今度は銃を規制して身を守るだと?
ふざけるな!」
咲は立ち尽くしていた。
拘束されながら、目を血走らせ、男は叫び続ける。
「良化委員だった俺の父は、俺が生まれる日にお前たちの銃で殺された!
母親はその父のあとを追って良化委員になり、同じく銃弾で死んだんだ!
俺が7歳の時だった!」
咲が目を見開いた。
防弾チョッキも着ている彼らのことだ。
銃が致命傷になったのではなく、その後の治療が遅れたか、茨城の時のように仲間に盾にされて圧死したかだろう。
「私・・・。」
気づけば話しかけていた。
「なんだ!
言い訳があるならしてみろよ!」
唾を飛ばしながら男が怒鳴る。
「私の両親も殺された。
・・・良化委員の、銃で。」
男も目を見開いた。
お互い聞きたいことが溢れた。
歳は?
名前は?
今までどうやって生きてきたのか?
家族は?
でもその問いかけは、音になる前に押し込められた。
「貴方にとって私達が親の仇なら、私だってそうだ。」
男は息を飲む。
「良化委員は・・・」
咲は少しだけ間をおいて、かすれた声で続けた。
「私の親の、仇だ。」
