それから
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「おはよう。」
かけられた声に驚いて振り返る。
「副館長・・・
おはようございます。」
いつも咲の次に来るのは土方だ。
「いつもこの時間に?」
「はい・・・副館長は本日何かご予定が?」
昨日の講演会も無事に終わり、今日の予定は立て込んではいなかったはずだと記憶をたどる。
彼は答えることなく咲に近づいた。
仕事の指示を出すときよりも一歩近い距離で、慧は口を開いた。
「検閲抗争における火器の使用を禁止した。
この意味が分かるかい?」
咲はその距離で微かに伝わる彼の体温に動じていることを悟られないよう、強く見上げる。
効き始めたクーラーのに冷まされることのない熱は、錯覚だろうかとも思うが、錯覚でも構わないとも思った。
少しでもいい、彼を感じていたい。
「職員や来館者にとって安全な図書館となったのは間違いありません。
ですから副館長に危害が加わることはないよう、特殊部隊と協力して」
「ゼロ点。」
あきれたような顔の慧に言葉を遮られ、咲は目を瞬かせる。
その間に慧は副館長室へ入ってしまった。
そしてその扉がしまった瞬間、部屋の入り口の扉が開いた。
「なんだ?」
あまりにタイムリーなもので土方を見て固まる咲に、相手は怪訝そうな目を向けるので慌てて頭を下げた。
「お、おはようございます。」
「ああ。」
慧が立っていた場所を土方が通る。
彼の熱は一瞬で散っていった。
(何がゼロ点なんだろう・・・?)
てっきり手紙関連かと思ったのだ。
何を考えているのかさっぱりわからないと首をかしげる。
(結局なんでこんなに早く出勤されたのだろう?)
咲は見知った背中に目を見開く。
そして早足で駆け寄った。
「手塚二正!
お久しぶりです!」
振り返った美女は嬉しそうに微笑んだ。
「久しぶりね。
元気?」
「はい。」
咲は嬉しくなってはにかむ。
「手塚二正もお身体大丈夫ですか?」
「ええ。
もうずいぶん重たいけれど。」
愛しそうにお腹を撫でる様子に、咲も笑顔になる。
「本当に大きくなりましたね。」
「まぁね。」
麻子は照れたように笑った。
「本を借りに来られたですか?」
「ええ。
あとついでにこっちの申し込みに。」
ぺらりと手にもつ桜色の紙を見せる。
こんにちは赤ちゃんの講座だ。
助産師も招き、本の紹介や貸し出しも行う定期イベントで、人気も高い。
「郁も参加するみたいよ。」
「そうなんですね。」
郁は現在は業務部で働いている。
たまに見かけるが少しずつお腹が膨らんできていた。
「図書館でお二人が一緒にいるなんて、久しぶりですね。」
「そうね。
しばらく前は当たり前だったのに、なんだか変な気分。」
麻子はひょいと肩をすくめた。
「そういえば、また物騒な手紙がきているそうね。」
その顔は詳しいことも知っていて、副館長が狙われている可能性が高いと言うことも知っているように見えた。
咲は頷く。
「必ず守ります。」
「私がいないから若干心配だけど、あんた腕はいいから。」
麻子の優しい眼差しを受けて、咲ははにかむ。
「しっかり頼んだわよ。」
「了解です。」
久しぶりの先輩
