それから
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「お疲れ様。」
かけられた声に咲は驚いて立ち上がる。
振り返った先、ドアは音をたてずに閉まった。
「副館長、お疲れ様です。
本日は直帰のご予定では?」
完成されているスーツ姿の慧は、珍しくミスマッチなビニール袋を片手に下げている。
「そのつもりたったんだかひとつ仕事を思いだしたんだ。
そっちこそどうした?
もう10時まわってるぞ。」
「仕事が少々残っておりまして。」
「そうか。」
慧は咲の机を覗き込んだ。
「利用者リストか?」
「ええ、何かのヒントにならないかと。」
貸し出されていない銃や銃規制、検閲抗争や、その際の火器の使用禁止に関する本や雑誌が山積みにされ、パソコンにはその利用履歴が表示されていた。
いたずらかと思われていた例の手紙が、再び発見されたのだ。
「なるほど。」
ビニール袋から某乳酸飲料とアーモンドチョコの箱を取りだし、空いた机に置いた。
辛党の情報部でアーモンドチョコを食べるのはは咲くらいなものだ。
ましてや乳酸飲料など、山戸ならば笑いながら飲んでくれるかもしれないが、といった程度。
(私、の・・・。)
「俺もこっちでしようかな。」
「え・・・」
「真面目な部下の働きぶりを見せていただこうかなと。」
「そんな!」
(もし誰か来たら?)
勘繰られるのは間違いない。
「冗談だ。」
慧はそう言って苦笑した。
咲は彼が何を求めているのか分からなくなった。
自分達二人の関係で問題を起こさないことを望んでいるはずで、それに物分かり良く頷き、空気を読むことを求められていると思っていたのに。
(そんな顔をされたらどうするのが正解なのか、分からない・・・。)
土方は扉の前で立ち止まった。
人の気配がする。
しかも一人ではない。
(誰だ?)
家へ帰る途中、明かりがついているのが気になって、どうせあの女だろうと注意しようと思って来たのに。
(何を。)
アーモンドチョコの入ったビニール袋を握りしめた。
入るのを何かがためらわせた。
昔から勘は鋭い方なのだ。
微かに聞こえた男の声。
内容までは聞き取れないが、その声に確かに聞き覚えがある。
しばらく立ち尽くしてから、来た道を戻る。
知られたくないことを無理に詮索される厄介さは身をもって知っていた。
勘
