それから
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部屋に一人。
カタカタとキーホードの音だけが響く。
委員会のテープ起こしは面倒な仕事だが勉強になる。
館長が何を考えているか。
副館長がなにをしたいのか。
各部長が望んでいること。
図書館の現状と未来が、その会議では話し合われているのだ。
耳の中で、でも離れた席で、慧が話す。
強く優しい声は聞き取りやすい。
知的な話し方には説得力がある。
穏やかだが熱意を感じる口ぶり。
こんな話し方ができる人には、人が集まるのだろう。
自然と。
(そうだ、彼は誰もが憧れる副館長・・・)
雨音のようなタイピング音は止まらない。
データの中で慧が話続けているから。
(私と彼は)
スマホに近い利手が捕まれ、固いものが米神にあてられた。
(銃・・・!)
襲われたと認識するより早く、体が反応した。
ぐるりと腕を捻り上げるように動かして相手がよろめいたところで左手で拳銃を叩き落とし、相手の足を払って俯せに倒れたところにのし掛かって動きを押さえ込む。
そこまでが一連の流れだった。
「ギフギブ!!!
マジギブごめんもうしない!!!!」
咲の下で、犯人が必死に訴えた。
その声が聞き覚えのあるものだったから、咲は目を瞬かせる。
「山戸さん!?」
慌てて腕を離し彼の上から降りる。
拍手の音に振り返れば、感心した顔の課長と腕を組んでにやにや笑っている土方が、少し離れたところで観戦していた。
「お見事。」
「いえいえ、それよりいったいなぜ?」
倒れた山戸を助け起こしながら問う。
「大丈夫だよ、ありがとう。」
しかしやんわりと断られ、咲としては申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
その様子を見た土方がついにこらえきれないと言うようにクツクツと笑う。
「そいつが悪いんだ。
てめぇが助けるこたぁねぇし、気にすることもねぇ。」
意味がわからず山戸を見る。
山戸は頬を掻きながらもう一度ごめん、と謝った。
「前に手塚さんが言ってたんだ。
特殊部隊の人間は身体に体術が染み込んでいるからドッキリしかけると返り討ちにあうって。
まさかと思ってやってみたらそのまさかにあっちゃったってわけ。」
埃を払う様子に咲は小さくなる。
「申し訳ありません。」
過去に堂上と予期せず組み合いになり、脳震盪をおこした時を思い出した。
あの時はどちらも組手に馴れたものだったからよかったが、一般人相手に脊髄反射で対応していては何度救急車のお世話になるか分からない。
「本当に俺が悪いからさ、気にしないで!」
「気にされる方がたまらんからな。」
「土方さんは黙っていてください。」
頭ひとつ大きい山戸を見上げる。
「どこか痛くありませんか?
加減できなかったもので・・・」
「だ、大丈夫。
いやー参った。」
「本当に。
山戸君も運動神経が良いし、こんなに体格差があるのに、すごいね。」
課長の言葉に土方がにやりと笑い、山戸が苦笑を浮かべる。
「これが刃物ならこうはいかないです。」
少し離れたところに転がった銃を拾い上げる。
「銃で殺すならもう殺していると思いますし、音で目立ちますから人質としたいならばまずは撃たない。
それから、偽物の可能性が高い。」
窓に向けて発砲するも、小さく軽い金属音が鳴っただけだった。
おもちゃだし、弾も入っていない。
(刃物の相手を取り押さえるなら、刺される覚悟がいる。)
古い傷がピリリと痛む気がした。
いたずら
カタカタとキーホードの音だけが響く。
委員会のテープ起こしは面倒な仕事だが勉強になる。
館長が何を考えているか。
副館長がなにをしたいのか。
各部長が望んでいること。
図書館の現状と未来が、その会議では話し合われているのだ。
耳の中で、でも離れた席で、慧が話す。
強く優しい声は聞き取りやすい。
知的な話し方には説得力がある。
穏やかだが熱意を感じる口ぶり。
こんな話し方ができる人には、人が集まるのだろう。
自然と。
(そうだ、彼は誰もが憧れる副館長・・・)
雨音のようなタイピング音は止まらない。
データの中で慧が話続けているから。
(私と彼は)
スマホに近い利手が捕まれ、固いものが米神にあてられた。
(銃・・・!)
襲われたと認識するより早く、体が反応した。
ぐるりと腕を捻り上げるように動かして相手がよろめいたところで左手で拳銃を叩き落とし、相手の足を払って俯せに倒れたところにのし掛かって動きを押さえ込む。
そこまでが一連の流れだった。
「ギフギブ!!!
マジギブごめんもうしない!!!!」
咲の下で、犯人が必死に訴えた。
その声が聞き覚えのあるものだったから、咲は目を瞬かせる。
「山戸さん!?」
慌てて腕を離し彼の上から降りる。
拍手の音に振り返れば、感心した顔の課長と腕を組んでにやにや笑っている土方が、少し離れたところで観戦していた。
「お見事。」
「いえいえ、それよりいったいなぜ?」
倒れた山戸を助け起こしながら問う。
「大丈夫だよ、ありがとう。」
しかしやんわりと断られ、咲としては申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
その様子を見た土方がついにこらえきれないと言うようにクツクツと笑う。
「そいつが悪いんだ。
てめぇが助けるこたぁねぇし、気にすることもねぇ。」
意味がわからず山戸を見る。
山戸は頬を掻きながらもう一度ごめん、と謝った。
「前に手塚さんが言ってたんだ。
特殊部隊の人間は身体に体術が染み込んでいるからドッキリしかけると返り討ちにあうって。
まさかと思ってやってみたらそのまさかにあっちゃったってわけ。」
埃を払う様子に咲は小さくなる。
「申し訳ありません。」
過去に堂上と予期せず組み合いになり、脳震盪をおこした時を思い出した。
あの時はどちらも組手に馴れたものだったからよかったが、一般人相手に脊髄反射で対応していては何度救急車のお世話になるか分からない。
「本当に俺が悪いからさ、気にしないで!」
「気にされる方がたまらんからな。」
「土方さんは黙っていてください。」
頭ひとつ大きい山戸を見上げる。
「どこか痛くありませんか?
加減できなかったもので・・・」
「だ、大丈夫。
いやー参った。」
「本当に。
山戸君も運動神経が良いし、こんなに体格差があるのに、すごいね。」
課長の言葉に土方がにやりと笑い、山戸が苦笑を浮かべる。
「これが刃物ならこうはいかないです。」
少し離れたところに転がった銃を拾い上げる。
「銃で殺すならもう殺していると思いますし、音で目立ちますから人質としたいならばまずは撃たない。
それから、偽物の可能性が高い。」
窓に向けて発砲するも、小さく軽い金属音が鳴っただけだった。
おもちゃだし、弾も入っていない。
(刃物の相手を取り押さえるなら、刺される覚悟がいる。)
古い傷がピリリと痛む気がした。
いたずら
